初心者のための透明水彩・パレットの段

このシリーズでは、これまで「透明水彩をする上で必要なもの」「絵の具」「筆」「水彩紙」まで見てきました。

今回は透明水彩のパレットについてのお話をしてみようかなと。

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パレットはどれを使うのがいい?

パレットにもいくつか種類がありますが、王道はやはり二つ折りのパレットでしょう。

二つ折りタイプ

導入コストを極力抑えたいならプラスチック製

100均のプラスチック製パレットでも必要十分なのですが、メインで使うならサクラやぺんてるの18色用・24色用が適度な大きさで使いやすいかなと。この写真では寒色系の色が入ったパレットにサクラの18色用パレットを使っています。安価で手に入りやすい反面、パレットに色が染み付いてしまうと、絵の具本来の色がわからなくなるという欠点もあります。

最近では穴の空いていないアルミパレットもある

染み付きがひどくなってしまったタイミングでアルミパレットに買い換えるのもオススメです。お値段はプラスチック製と比べて高い(安いものでも2000円前後)ですが、その分丈夫で染み付きも少ないです。

代表的なメーカーはホルベインとターレンスあたりですが、材質にほとんど差はないかな…? 比較的手に入りやすいのはホルベインですが、指穴が空いていないパレットはターレンスにしか無いので、混色スペースに余裕が欲しい人はターレンスの指穴なし26色用がオススメ。ただしホルベイン製と比較してやや色素沈着しやすいので注意。

ハーフパンタイプ

ハーフパンの方の色見本を未だに作っていない…そのうち作らねば…

手持ちの絵の具が50色を超えそうなタイミングでハーフパンに移行or併用するという手もありますが、ハーフパンは基本的にネットで取り寄せになるので入手難易度は高め。ハーフパンを入れる為の専用パレットもネットでないと手に入りませんが、収納するだけであれば金属製のケースで代用できます(ハーフパンの底面にマグネットを付けておくのを推奨)。

写真のパンパレットは本来24色用(フルパンの場合は12色)なのですが、トレーを外して無理くり44色詰めています。

ペーパーパレット

本来は油彩・アクリル用ですが透明水彩でも使えます

これはパレットやハーフパンに出していない絵の具を使う時や、アクリルガッシュと併用する時など補助的に使うものと割り切ったほうが良いかも。初心者がメインパレットとして使うのには向いてないです。100均で売ってる紙皿でも代用出来ちゃったりするので、特に必須というわけでもないですが、ひとつあれば便利。

オマケ: パレットを自作する

透明水彩界隈を見ていると、100均で買えるものを組み合わせてパレットを自作する勢も一定数いたりします。自分もパンパレットを買うまでは100均の缶ペンケースとくるみボタンを使って自作してました。

中には100個くらいの氷が作れるタイプの製氷皿をパレット代わりにしている猛者もいますが、使い勝手は…どうなんだろう。入る量もミニパンと同じ位かそれよりも少ないか位だと思われるのですが… あとレジンで小物を作れる人の場合は、ハーフパンを自作したり、パレットにレジンで仕切りを追加したりとか。

「パレット 自作」とかでググると結構いろんな自作パレットが見つかりますが、くるみボタンを使うタイプが一番使いやすいかなと。

パレットはどうやって作る?

基本は色相環の順に並べる

具体的に言うと「虹色になるように並べる」事なのですが、セットで買っている場合は「箱に入った順番のまま、白と黒以外の色をパレットに出す」のが一番わかり易いと思います。

W&N 18色セット
W&Nのセットは黄色始まり
ターナー18色セット
ターナーやホルベインのセットは赤からスタート

メーカーによって赤始まりだったり黄色始まりだったりバラバラですが、ほぼ色相順に沿った状態で入っているので、その順番の通りに出せばOK。

私が作ったパレットはこんな感じ

因みに私のパレットは概ねこんな感じになっています。最初はセットに入っていた通りに絵の具を出していたのですが、思うところがあって、現在は写真のような配置になっています。

パレット(小)
パレット(中)

右下から逆コの字型に、黄→緑→青緑→青→紫→赤→オレンジ→茶→黒・グレーの順に並べています(パンパレットはこの並びにはしていないです)。本来だと赤と黄色は近い方が使いやすいのですが、それだと青や緑との混色がやりにくいのであえてこの並びにしています。

この並び方は上記サイトで紹介されている並べ方を真似て作っているのですが、確かにこれは使いやすいです。特にイエローオーカーを本来のカテゴリーである茶色ではなく、黄色の横に置いて黄色として扱う…というのは、普通に使ってたら多分スルーしちゃうと思います。実際黄色として使うと、彩度は落ちるけど絵に馴染むんですよね。

どこに入れるか迷う色

肌色として使える色(ジョーンブリヤンなど)

おそらくどこに入れるのが適切か悩む色の代表的なやつがコレです。メーカーによって色味が微妙に違ったりしますが、

  • 赤味が強いもの→ オレンジの横、または赤とオレンジの間
  • 黄味が強いもの→ 黄色の横

とする方が使いやすいのかなと。ホルベインのジョーンブリヤンの場合だと、No.1は黄色の横に、No.2は赤とオレンジの間に…という感じですね。

インディゴ

心情的に青のカテゴリーに入れたいところですが、実はW&Nのドットカードだとグレー扱いなのですよね。なので、入れるとしたらセピアとペインズグレー(またはニュートラルチント)の間くらいが妥当かなと。ペインズグレーやニュートラルチントに少しだけ青みを足したい場合とか便利。

絵の具の量はどのくらいが適切?

よく聞くのは「仕切りから溢れない程度になみなみと出す」ですが、制作ペースによってこの量は変わるので、特に明確なルールはないです。制作ペースがそこまで早くないなら少量ずつでも良いですが、あまりにも少ないと絵の具を多く使う塗り方が出来なくなるので、少なすぎてもダメです。

中にはチューブ全部出しましょうと説明している所もあるのですが、梅雨時には絵の具がカビる事もあるので、個人的にはパレットに全量出すのはやめといた方がいいかなと…。

とはいえ、絵の具は経年劣化とともに固まってしまってチューブから出せなくなることもあるので、あまり使わないような色はハーフパンに全量を充填して固めてしまうのも手かも。

絵の具を出したら乾燥させよう

パレットに絵の具を全部出したら、開いたままの状態でそのまま乾燥させます。絵の具にホコリが付かないように、新聞紙などを被せておくと良いです。完全に乾いたら完成です。

なおパンパレットの場合、完全に乾燥するまで最低でも1週間程度はかかるので注意。

お手入れについて

透明水彩絵の具は固めて乾燥させた状態から使うものなので、基本的にその都度パレットを洗う必要はないです。が、時間の経過とともに絵の具自体が劣化して、色味が変わったりカビてしまったりする(乾燥するとパレットから剥離してしまうものもあります)ので、1年に1回位のペースでパレットを洗うのをおすすめします。また他の色に負けやすい黄色は汚くなりがちなので、水を含ませた筆で表面をなでてキレイにしてから片付けると良いです。

混色スペースもそのままにしておいても構わないのですが、こちらも放置しすぎると混色した時に色が濁る原因になりやすいので、月イチ程度のペースで一度キレイにした方が良いです。水を含ませたティッシュなどで十分に取れますが、重曹入りウェットティッシュだとよりキレイに取れますよ。染み付き部分は消しゴムで擦ると取れます。

パレットを作ったら色見本も作ろう

パレット(小)
色見本(パレットS)
色見本はパレットと同じ配置にする

透明水彩の場合、チューブから出した色と塗った色とではだいぶ色味が違います(まれにチューブの色がそのまま塗った色になるものもあります)。パレットに出した色がどんな色なのか、またパレットの色の配置を把握する目的で、「色見本」を作成します。私はこの色見本を、作業時には早見表としてパレット横に置いています。

色見本を作るときの注意点

必ず白い水彩紙を使う

ホワイトワトソン
入手難易度的にもホワイトワトソンが最適

正確な色味を把握するためにも、必ず真っ白な水彩紙を使います。代表的なものはホワイトワトソン・アクリルデネブ・ウォーターフォードホワイトなど。クレスターやランプライト、ナチュラルワトソン等といったクリーム色の紙は全体的にかなりくすんで見えてしまうので、色見本には向いていません。

なおBeアート/Doアートやコットマンは一見真っ白っぽく見えますが、実際にはほんのりクリーム色っぽいナチュラルホワイトなので、正確な色味を見る紙としてはあまり向いてないです。が、そこまでクリーム色が強いわけではないので、全く使えないわけでもないです。

濃淡を付けて塗る

不透明色だとそこまで差がありませんが、半透明色・透明色の場合は濃い部分と淡い部分とで色味が変わる色もあるためです。代表的なものは赤系の絵の具、イエローオーカー、ブラウンマダー、ペリレーンマルーン、ホルベインのキナクリドンゴールドやW&Nのニューガンボージなど。

茶系にカテゴライズされている色の中には黄色として使える色もある

イエローオーカーは淡い部分だと彩度の低い黄色として使う事ができますし、ブラウンマダーやペリレーンマルーンも薄く塗ることで彩度低めの赤として使う事ができます。またホルベインのキナクリドンゴールドとW&Nのニューガンボージは濃く塗ると山吹色になり、薄く塗ると淡黄色になります。このように、透明水彩は水で薄めて淡い色を作って塗る事もあるので、濃淡を付けて塗っておくとわかりやすいです。

濃淡を付けて塗るのは意外と難しいのですが、最初に濃く塗って、少しずつ絵の具の量を拭き取りながら伸ばしていくとうまく作れます。なお、色見本作るの下手くそマンの私は必ず3色はグラデに失敗します…orz

色の名前とメーカー名は必ず書いておく

主に買い足しする時の為に書いておくという意味合いもあります。私はやっていないのですが、スペースに余裕があれば顔料名も書いておくと、他のメーカーで同じ顔料の絵の具を買いたい時に役に立つかと。あとはメーカーの3原色を入れている時はそれを書いておいたり、グラニュレーション/ステイン色には「G」「St」と書いておくのもよいと思います。

まとめ

色選びしている時が実は楽しかったりする

というわけで今回はパレットのお話でございました。

手持ちの色が多すぎると「あの色もこの色も使いたい…けどパレット空いてない…どうしよう…」ってなるので、使いたい色をよく吟味してからメインのパレットを作るのがベストかな、と思います。

かくいう私はアルミパレット2枚とハーフパンという構成ですが、いずれもそれ1個だけで一通り使えるような色の配置にしています。アルミパレットの方はW&N+ターナーメインの構成か、W&N+ホルベイン+クサカベメインの構成かっていう違いだけで、ほぼ似たような色味で揃えています。今日はこっちで塗ろう、次はこっち…みたいに気分転換したい時には便利ですが、その分コストもかかるので特にオススメはしませんw

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