初心者の為の透明水彩・水彩絵具の段

前の記事(↓)で「透明水彩に必要な道具」のお話をざっくりとしました。

今回は更にちょっと踏み込んで、それぞれのお道具について掘り下げていこうと思います。まずは主役の絵の具から!

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初めて買うならセットが無難

自分が使う色の傾向が分かっている人なら、「メーカーで推奨されている三原色+自分がよく使う系統の色を3色程+肌色に使えそうな色」で7〜8色選んで買ってもいいのですが、透明水彩の混色に慣れていないうちは「なんか思ってたんと違う…」という結果にもなりかねません(透明水彩は混色した色の数に比例して彩度が落ちて濁ってしまいがち)。

なので、個人的にはバラ買いよりはセット買いをオススメします。混色に慣れてきたら縛りプレイしてみてもいいんじゃないかなと(縛りプレイ言うな)。

セットで買うなら何色セットがいい?

18色または24色セットが無難です。12色だとあまりにも少ないし、30色以上だと使わない色が出てくるので、間を取って18〜24色。ただ黒と白は使わないので実質16〜22色ですね。12色セットだと実質10色になってしまうので、やはり12色は薦められないかな…

ただどうしても12色セット(特にホルベインの12色セット)を買うのであれば、プレバトで水彩画監修をしている野村先生の本「12色からはじめる水彩画 混色の基本」という本を手元に置いておく事をオススメしますよ。

チューブと固形どっちがいい?

よほどの理由がなければチューブタイプがオススメです。

ただ、海外ブランドの「シュミンケ」や「マイメリブルー」などはチューブだと結構いい値がするんですよね。しかもマイメリブルーのように5mlチューブを出していないブランドも結構多いので、気になる色があっても試しづらい。こういうブランドの場合は固形のハーフパンタイプが用意されてる場合があり、こちらの方が比較的手の届きやすい値段帯になっている事が多いので、高価格帯の場合ならハーフパンがおすすめです。

ウィンザー&ニュートンの場合は、コットマンに関しては値段に差がないのでお好きな方で良いです。プロフェッショナルカラーはグレードがS1〜S3ならチューブタイプ、S4の場合はよく使う色でなければハーフパンの方がオススメです。てかS4はチューブとハーフパンで200円程違うの何なん…

ホルベインは同じ色でもチューブと固形で顔料が異なる色がある(そしてハーフパンの方が高い)ので、全くの別物と考えた方が良いです。

透明水彩絵具のおすすめメーカー

画材屋で手に入りやすいものの順番ですとこうなります。

  1. ホルベイン
  2. ウィンザー&ニュートン(W&N)
  3. クサカベ

大きい所だとシュミンケホラダムが基本色に絞ってバラ売りされているケースもありますが、小さな画材店や文房具売場の中に画材コーナーも併設している書店などでも買えるものに絞るとこうなります。

あとW&Nに関しては「コットマンしかない」「PWCしかない」「両方ある」でもまた事情が違う。

ホルベイン

ホルベイン透明水彩絵具

全108色、複合顔料色と単一顔料色の割合は半々くらい。迷ったらこれ。

日本国内で最も画材店で買い足ししやすいのは間違いなくコレでしょう。単品は1本200〜400円程で買えるので、ついつい買いすぎてしまいます… 高品質で低価格なので、初心者からプロユースまで幅広く使われています。前述した「12色からはじめる水彩画 混色の基本」のような水彩の技法書や、水彩教室などで使われているのは大体ホルベインなので、もしホルベインを使っているならば色選びの時に困りにくいです。

目的別で見るおすすめのセット品

またセット売りに関してもバリエーションが多いので、目的にあったセットを買いやすいです。

コミック系

肌色として使える色・ジョーンブリヤンNo.2が入った18色セットにオペラ・ラベンダー・ライラックを追加するのがオススメ。予算が許すなら24色セットでも。

雑誌エスのイラストレーターとコラボした「キャラクターイラストのための透明水彩絵具セット」(12色・限定販売)も選択肢に入れてもいいかもしれません。

ボタニカルアート系

ズバリ「ボタニカルアート 24色セット」という、ボタニカルアートにうってつけの色を揃えたセットがあるのでこちらがオススメです。水彩教室でもこのセットを教材として推奨する所もあるようです。

追加でセットを買い足すなら?

公式オンラインショップ限定ですが「こっくりカラー12色セット」が個人的には推し。彩度低めの落ち着いたカラーが揃ってるのでセカンドセットにオススメ(私はペリレンマルーンとマースバイオレット欲しさに買った)。

ホルベインをオススメする理由まとめ

  • 低価格なのに高品質
  • 小さな画材店でも置いてあるので買いやすい
  • ユーザーが多いのでノウハウを見つけやすい
  • 水彩教室や技法書などでよく使われているので色選びの参考にしやすい
  • 使用目的に合わせたセット販売のラインナップもある

正直デメリット要素が殆ど無いのですが、一点ケチをつけるとしたら水の量少なめで塗った時にテカリが出る色がある事。ペインズグレイとか水少ないと結構テカるのですが、これをキレイな艶と見るかテカリと見るかで好みは分かれそうです。

ウィンザー&ニュートン(W&N)

Winsor&Newton

英国王室御用達というお墨付きの老舗画材メーカーの透明水彩。海外ではW&Nが最もメジャーで、国内でもホルベインからのステップアップとしてW&Nを選ぶ人が多い傾向にある為、ホルベインに次いでノウハウを見つけやすいです。そのため、こちらも画材屋であれば大体お取り扱いがあるブランドです。

2022/06/01追記

W&Nのプロフェッショナルウォーターカラーは、2022年6月より約20%ほど値上げになりました(グレードや容量によっては30%強)。そのためセット購入になるとかなり割高になってしまうので、まずドットカードでお試ししてからの購入を強くおすすめします。なおコットマンに関しては価格改定はありません。

その他W&N製品で価格改定がある商品のリストは、下記Webページ内にあるPDFで確認できます。

W&Nの透明水彩絵具は2種類のブランドに分かれている

W&Nの透明水彩絵具はブランドが2種類あって、

  • 習作用→ コットマン・ウォーターカラー
  • プロユース→ プロフェッショナル・ウォーターカラー

という分別になってます。コットマンは全40色のうち19色、プロフェッショナルは全108色のうち約8割が単一顔料で作られているので、混色しても濁りにくいです。

お値段はコットマンがチューブ・ハーフパンともに250円弱で、ほぼコピックチャオ相当。一方プロフェッショナルは5mlチューブサイズがホルベインの3倍位(600円〜1000円程)になるのですが、それでも海外ブランドの中では比較的手に取りやすい価格帯になっています。

余談ですが水彩紙もやはり用途別でブランドが2種類ありまして、こちらも絵の具同様

  • 習作用→ コットマン(木材パルプ)
  • プロユース→ プロフェッショナル水彩紙(コットン100%)

という分別になってます。

カドミウムを使っていない「カドミウム色」がある(プロフェッショナルのみ)

プロフェッショナルカラーでは、毒性のあるカドミウムを使わず、人体や環境に安全な顔料を使用しつつもカドミウム色に近い色を再現した「カドミウムフリー色」を販売しています。グレードがS4なのでお値段はかなり張ってしまいますが、夏でも掻き壊しによる傷ができやすいアトピー肌の私には神色。これに味をしめてコバルトフリー色も出してくれたらいいなぁ…。

プロフェッショナルの色は1色1色が素敵な物語を持っている

正直これだけでもW&Nを推せる。

残念ながらJEWELシリーズとカドミウムフリー色は入ってないのですが、読み物としても面白いし、簡易カラーチャートとしても使えます。PDFもダウンロード出来るので手元に置いておいてもいいかも。

おすすめのセット品

プロフェッショナルの場合

価格帯と色味のバランスを見た感じだと18色セットか、5mlチューブ12色 ライトウェイト・メタルボックスセットが一番無難そう。ただし18色セットに入っているセルリアンブルーは毒性注意色なので、気になる人はバラ買いの方がいいかも。

私は迷いに迷った末に後者のメタルボックスを買ったのですが、12色しか入ってないのにオススメした理由としては以下。

  • 通常のセット品には必ず入っているチタニウムホワイトとランプブラックが入っていない
  • 黒の代わりとして使いやすいペイニーズグレーが入っている(個人的激推しポイントその1)
  • 単品購入すると高いカドミウムフリー色が2色入っている(個人的激推しポイントその2)
  • ウィンザーブルー レッドシェード以外のW&N3原色(ウィンザーレモン・パーマネントローズ)が揃う
  • トラベル用なので簡易アルミパレットが付いている

透明水彩の白と黒ってあんまり使わないので、これを入れずにペイニーズグレーが入っているのは非常に助かるなと。また単品で買うと高くついてしまいがちなカドミウムフリー色を2色、それも水彩画の教本でよく使われやすいカドミウムイエローとカドミウムレッドの代わりに使える色を入れてくれているのも何気にポイント高いです。

ただこのセットの注意点としては、ウルトラマリンが粒子の荒いフレンチウルトラマリンである点と、緑がパーマネントサップグリーンのみである点。W&Nのみで色を揃えたい場合で、且つ混色なしで塗りたいのであれば緑は追加で買い足し必須です(オリーブグリーン・フーカスグリーンの2色があれば何かと便利です)。混色でいろんな彩度の黄緑を作りたい時はウィンザーグリーンがあると便利。

こちらのサイトでウィンザーグリーン(=フタログリーン)の使い方が分かりやすく紹介されています。超オススメ。

あとはお好みでイエロー系とピンク系の色味、ウィンザーバイオレット、ウルトラマリンGS・プルシアンブルー(アントワープブルーでもOK)あたりを買い足せば大体のものは描けそうです。変わり種としてバラの香りがする(!)ローズマダージェニュインを買ってみるのも面白いです。

コットマンの場合

8mlチューブのセット品が12色か20色しかない(チューブ20色セットはおそらくAmazonじゃないと買えない)ので、色数を求めるならおのずとハーフパン一択になってしまいます。が、プロフェッショナルと混ぜて使えるので、足りない色・単品で買えない場合はプロフェッショナルに置き換えてしまうのもアリ。

W&Nをオススメする理由まとめ

  • 海外ブランドの中で最も手に取りやすい価格(それでもホルベインやクサカベよりはちょっと高い)
  • 単一顔料で作られた色は透明度が高く発色もキレイで、混色しても濁りにくい
  • ユーザーが多いのでノウハウを見つけやすい
  • 人体と環境に配慮したカドミウムフリー色の展開がある(※プロフェッショナルのみ)
  • 価格と色のバランスがちょうどいい
  • 色の物語がどれも素敵

個人的にはつぶつぶ感がなくて扱いやすく、且つお安く買えるウルトラマリンとして、プロフェッショナルのウルトラマリンGSがマストバイ。ただウルトラマリンについては後述のターナーやまっちの同色の方が超なめらかに塗れてかつ超ローコストらしいので、敢えてW&Nである必要もなさそうなのが…。

これ以外なら、値段以外にデメリットが見当たらないカドミウムフリー色が圧倒的にオススメ(教本でカドミウム色を推してる場合にこれで代用できるから)。特にカドミウムイエロー系はよく教本で使われやすい色なので、カドミウムフリーイエローか、カドミウムフリーイエローペールのどちらかだけでも持ってると便利です。

なお色によっては固めるとヒビ割れしやすい&パレットから剥がれやすいので注意。

クサカベ

クサカベ

国内メーカーではホルベインの次に買い足しやすいブランド。お値段もホルベインと大体似たような感じ(200〜400円程度)で、画材店によってはクサカベの方がホルベインよりも20円位安かったりします。

色の傾向としては、ホルベインやW&Nと比べて中間色・蛍光色のラインナップが厚いです。そのためか、全90色のうちの7〜8割程が2種類以上の顔料を混合して作られていて、単一顔料色はやや少なめ。

毒性注意の顔料は一切使っていない

透明水彩の毒性注意顔料として「カドミウム」と「コバルト」があるのですが、クサカベではそのどちらも使っていません。カドミウムやコバルトを冠した色はすべて代替の材料で作られているので、人体にも環境にも優しいです。前述のW&Nカドミウムフリー色に手が届かない場合はクサカベで揃えてしまうのも手です。

色のひとつひとつに和名が付けられている

これはクサカベにしかない特徴ですね。これの何がいいかって言うと、どんな色なのかある程度想像しやすいってとこ。あと日本画色に近い物を探しやすいというメリットも。

例えばジョンブリアンはこれだけだと「どんな色やねん」ってなりがちだけど、これに「肌」って書き加えると…大体どんな色か見当つきやすくありません? …ただ、これとは逆のパターンもあって、日本画などの和の色に詳しくない私のような人だと「雲母赤口ってナニ??」となりがちではあるw(※パールゴールドの事です)

混色しないで使った方がキレイ

特に中間色は混色するとヘンテコな結果になりやすいので、そのままの色で勝負したほうが幸せになれるやも。単色で塗る方がカワイイ色の方が圧倒的に多いので、混色して使うのは勿体ないかな…。

ただ蛍光顔料が入っている色はスキャナ泣かせな事が多いです。つまり印刷向きではないので、同人誌の表紙を描く時には注意した方がいい色。とはいえ、最近はKP(蛍光ピンク)差し替えや5色・6色分解も比較的控えめのお値段で出来たりもするので、昔ほど悩まなくてもいい気しますが。

おすすめのセット品

肌色に使えるジョンブリアンが入ってる24色セットが色の偏りが比較的少なくてオススメ。が、バラ買いしても高くつかないので18色+ジョンブリアン+青系・グリーン系・ピンク系を各1色ずつ買う、とかでもいい気はします。和彩は中間色をメインにしたセットなので、スタートパックとして買うにはちと厳しいかも…

クサカベをオススメする理由まとめ

  • 低価格なのに高品質
  • 画材店だけでなく、大きめの文房具店や書店でも単品販売もしていたりするので、買い足ししやすい
  • パステルカラーや蛍光色のラインナップが厚めなので、コミックイラストにも最適
  • 全色カドミウム・コバルトフリーなので人体や環境にも優しい
  • 和名が併記されているので日本画の相似色を探しやすい

こちらもケチの付け所がない良い絵の具なんですが、ホルベインやW&Nに比べて絵具のテクスチャが硬めなので、乾燥させると溶かすのに時間がかかったり、ヒビ割れしたりパレットから剥がれやすい色もあるのが難点。使う時には予め水で濡らしておいて、暫くなじませてから使うのがベター。…なのですが、超絶せっかちな私はお湯を数滴垂らして溶かしてます…

他にも初心者にオススメなブランド

まっち

50年以上前から人体と環境に優しい絵具にこだわって作ってきたメーカー。自分は透明水彩を始めるにあたって色々調べていた頃に初めてこの会社の存在を知りましたが、どうも透明水彩界隈では知る人ぞ知るブランドだったようです…。

YouTubeで透明水彩のTips動画を挙げている「おじいちゃん先生」こと、柴崎先生の激推し絵具でもあります。

こちらの動画では風景画を描きながらまっちでの混色について触れてます。

特にベイシックカラーが透明水彩なのに彩度がドクターマーチン並み、混色しても濁りにくい、それでいて低価格…という末恐ろしいやつ。しかも顔料のみならずガワ(チューブやパッケージに至るまで)までもが有害物質を一切使っていないという、とてもサステナビリティに溢れた絵具です。お子さんと一緒に楽しむのに最適。

ただ惜しむろくは単品の取扱いが

  • 公式のオンラインショップ
  • トゥールズお茶の水店(※リアル店舗のみ)
  • 画材販売.jp(※ベイシックカラーのみ)

の3ヶ所に限られているところ。もっと取り扱い店舗増えてもいいのよ…

ターナー

色によっては、チューブから出した時に原料臭(アラビアガムは無臭らしいので顔料の原料臭か…?)が若干きつく感じられるものがあるので、シックハウス症候群の人は注意が必要です。個体差もあるかもですが、ウルトラマリンは顕著に現れました。

中学校の美術で使っていたのもあって、個人的には未だに「ターナー=ポスターカラー」のイメージなんですが、透明水彩も出していたとは知らなかったです…

海外ではかなり有名なようで、全148色のうち94色は基本的に海外でのみの展開となっていてます。そのため、この海外展開色には5mlチューブの販売がありません(15mlチューブのみ)。そして欲しい色はすべて海外展開色にばかり存在する…うぐぅ。肌色相当色のジョンブリアンが何故か海外展開色にしかないというのは納得できないよ…

価格帯は5mlチューブだとホルベインやクサカベと同じくらいか、更に安いです。15mlチューブは高い色でも600円ほどで買えるのでめちゃくちゃお財布に優しい。低価格なのに高品質で、かなりなめらかに塗れるとの評判なので、こちらも初心者にオススメです。なおオンラインの場合、海外展開色は世界堂さん笹部洋画材料店さんでしかお取り扱いがないので要注意。

また独特の色合いを持った「マヤシリーズ」が人気で、マヤブルーは人気色。18色・24色セットにも入ってます。しかしなぜ他にもマヤカラーがあるのに、マヤシリーズだけでセット販売しないのか…。謎。

マヤカラー以外だとウルトラマリン、ターコイズブルー、ナチュラルローズマダー、ブラウンマダー、クローブ(海外色)、インダンスレンブルー(海外色)などは推し色に挙げてる人が多い印象。特にターコイズブルーはチューブから出した色がもう綺麗で、よく5mlチューブが品切れになってます。私は思い切って15mlチューブで買いましたが、使い切れるんやろか…

個人的に好きな色はウルトラマリンバイオレットとフタロターコイズ(海外色)。

慣れてきた頃に試したいメーカー

透明水彩に慣れてきた頃に何色かバラで買って試したいブランドとか。ここからは価格帯バラバラです。

シュミンケ ホラダム

ドイツの透明水彩絵具。超高級ブランドなのでお値段も一気に跳ね上がります(ホルベインの5倍)が、その値段に見合った高クオリティらしい。…しかしまだ手が出せておりません…。チューブよりもハーフパンの方がちょっとお安めなので、まずはハーフパンでお試ししてみるのも良いかもしれません。因みにチューブとハーフパンのレシピは同じだそうな。

よく推し色に挙げてる水彩民が多い色はデルフトブルー、トランスペアレントオレンジ、ヘリオターコイズ、コバルトターコイズ、ウルトラマリンファイネスト辺り。ウルトラマリンファイネストは粒子が細かくて分離しにくいので、オススメしている人は結構多いです。因みに自分の推し色はターナーのマヤブルーに似た色・プルシャングリーン。

あと絵の具よりもアンモニア無配合で紙に優しいというマスキングインクの方が気になってます(ぉ)

マイメリブルー

こちらはイタリアの透明水彩ブランド。近年リニューアルして、全90色すべてが単一顔料構成になったというなかなかエゲツない絵具。こちら前述の通りチューブが12mlしかなく、お値段も安い色でホルベインの6倍なので気軽に試すにはなかなか勇気がいるやつ。

…なので、世界堂さんではお試しサイズとしてハーフパンをオススメしてます。

ハーフパンはグレードによって値段が違うのですが、価格帯は800円〜1400円ほど。結局シュミンケの5mlチューブと同じ価格帯になりますが、マイメリのチューブタイプの一番高いグレードが2300円前後する事を考えるたらまだ安い方じゃね? …と思ってしまう(感覚が麻痺しとる)。

気になる色はいくつかあるけど、とりあえず3原色だけでも使ってみたいなぁ。プライマリーレッド・マゼンダの色がすごく素敵…。人気色はW&Nの限定カラーだったダークブラウンと似た色・セピアと本物のインディゴ顔料を使っているインディゴ、独特の質感を出せるポッターズピンク。

セヌリエ

フランス製。10mlチューブとハーフパンでの展開で、全98色。チューブの価格帯はシュミンケと同じくらいですが、シュミンケが5mlサイズに対しセヌリエのチューブは10mサイズなので、チューブで買うならこちらの方が気持ちコストが低めになります。パッケージが超オシャン。

蜂蜜を配合しているという大変珍しい絵具なのですが、そのためか乾燥させてもなかなか固まったりしないそうです。それ故に夏場はドロっと溶けてしまうらしく、非常に残念なことにドットシートは作れないという…。

超人気色のウォームグレーは混色では作るのが難しいので、買ってしまうかも。セヌリエグレーも素敵色。

ミジェロ ミッションゴールドクラス

追記: 2022-02-24

最近になって日本の代理販売店だったセブンエステとの契約が終わったようで、現状日本国内からは撤退している状態になっています。正規価格で買うにはハイリスク覚悟で個人輸入するしかなさそうです。

気になっている色を買う前に消えてしまった…なんという悲劇!

韓国製(この点だけで難色を示す人は結構いそうですが…)。化学添加物・カドミウム無添加なので環境に配慮しつつ高発色で塗れるらしい。ドットシートが販売されているのだけど、場所を取りまくる装丁になっているのが残念ポイント。

あとAmazonと楽天でしか買えないのも残念ポイント。楽天で買う方が安いけど、販売元がサロン向けの業務用美容アイテムのショップなので、トップページからは行けなくてショップ内検索しないといけないのは混乱の元だと思う。なぜ公式ショップ閉めてこっちに統一したのか…

全126色のうち単一顔料(ピュアピグメント)は50色。7mlチューブ・15mlチューブの2種類あるけど、7mlチューブも販売している色が少ないのでやや割高感。グレードによる値段の差が激しいので、色のグレードによってはシュミンケやマイメリよりも高くなる点に注意(シリーズHになると7mlでも2000円強になってしまいます)。

個人的に気になる色はミジェロブルーとブルーバイオレット(※分離色)。

分離色に定評のあるメーカー(上級者向け)

塗った後に色が2色以上に分かれる色を分離色と呼ぶのですが、ここではそんな分離色で有名なブランドをざっくり紹介。ただ分離色は総じてグラニュレーション(粒子)感の強い物が多いので、初心者にはおおよそ扱いやすい色ではないです。あくまでも上級者向け。

ダニエルスミス

アメリカ製。分離色の話題の時には必ず見かけるブランド。タイプ別で

  • エクストラファイン(基本色・全177色)
  • プリマテック(鉱物色・全36色)
  • ルミネッセント(ラメ色・全48色)

の3種類に分かれてます。正直基本のラインですら色多すぎて目移りするんですが、お値段がこれまでに紹介してきたどのブランドよりも高い(ように見える)のでなかなか手を出せません…。そもそも分離色どころかグラニュレーション色に苦手意識があるので個人的にはまだいいかな…

ちなみにムーングロウが超人気色。分離色を避けてる私もこれは欲しいなぁと思うくらいイイ色。

SUPER VISION

中国製。こちらも分離色の話題では必ず名前が挙がるブランドなのですが、国内では楽天かAmazonでしか見かけません。しかもセット品しか見かけないような。単品で欲しければAliexpress経由で個人輸入するしかないようです。

なお楽天の場合は後述のPaul Rubensも含めてこちらで公式に販売されていますが、単品販売はなくてセット品のみっぽい。

あと、セット品のパッケージがどれもこれもKAWAIIのでパケ買いしそうになりますね。

Paul Rubens

こちらも中国製で、やはり分離色の話題で名前が挙がります。最近だと水彩ブログ界隈が案件で紹介していたのもあってか、パール系の水彩絵具とラメ入り水彩紙でちょっと話題になってますね。

SUPER VISION同様、Amazonでも楽天でもセット品しか見かけないので、こちらも単品で欲しい場合はAliexpressで個人輸入じゃないと難しそう。ただ個人的には絵具にはそれほど食指が動かなくて、むしろ水彩紙の方が気になるかな…。

まとめ

ここまでメーカーいくつか紹介してきましたが、迷ったらホルベインかW&Nが無難です。ノウハウも多いですし、透明水彩の教本でも必ずどちらかを使ってますし、何よりも小さな画材店でも単品購入しやすいのは大きなメリットでしかないです。

しかし透明水彩の場合は何よりも紙(水彩紙)にお金をかけるべきだと思うので、絵の具は最小限にとどめて、その分を紙に全集中した方が幸せになれると思います。自分の塗り方に合うか合わないかで色々と差が出てくるのが紙なので…(紙についてはまた別の記事で!)

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