【悲報】ストラスモア インペリアル終了のお知らせ
1年前に公開した水彩紙の記事で、激推しの紙として紹介していたストラスモア インペリアル水彩紙。
この度本国アメリカで製造中止になりました。。・゚・(ノД`)・゚・。
それに伴い、販売代理店であるホルベインでも、在庫がなくなり次第廃番とのこと。この数日前にはセヌリエ値上げの話で持ちきりだったので、水彩沼の住人にはとてもつらいお知らせが新年早々立て続けに流れてくる形に…。
なお、ストラスモアは公式アナウンスよりも通販サイトのお知らせの方が早かった(この情報が流れたのが週末だったので致し方ない)ので、たった3日で通販ではもう入手困難に。ちなみにセヌリエは代理店がtwitterアカウントを持ってるのに、結局公式サイト以外でのアナウンスはありませんでしたね… この差is何。
それはさておき、よく行く画材店がF4サイズだけ扱っているのを思い出したので、自分も急いで在庫確保しました。
こんなサイズで描くことはおろか、買うことさえもほぼほぼないのですが、既にネット通販では出回らなくなってきたSMサイズ約2個分を確保したと思えば、まだ気が楽かな…と自分に言い聞かせることにします。
…風邪っぴきじゃなけりゃいいのだけど…(結構長いこと置かれていたっぽいので心配)
ストラスモア インペリアルってこんな紙(だった)
発色がとても鮮やか
紙の色が抜群に白いため、どの色も等しくきれいに発色します。特に青はとても綺麗に出ます(上の画像じゃちょっと分かりづらいですが…)。乾いても色が薄くなったりしないので、濃い色も薄い色も安心してのせられます。
表面が強い
トレス台を使わず直に下絵を描くズボラな私にはとても有難い紙。こすっても毛羽立ちにくいので消しゴムも平気。またウォーターフォードと比較して色の染み付きや沈み込みが気持ちマイルドなので、適度に重ね塗り&リフティングも余裕でできます。ただし、紙が風邪を引いていた場合や、こすり過ぎちゃうと流石に荒れますw
紙の凹凸が深くない
ストラスモア インペリアルはカット紙のみ細目と中目の2種類で、それ以外の規格はすべて中目のみの取り扱いだったのですが、同価格帯のウォーターフォード中目と比較しても、そこまで紙の凹凸が深くありません。ペンの引っ掛かりがとても少なく、スムーズにペン入れを進められました。
凹凸が深くないのでかなりツルツルしているのかと思えばそんなこともなく、広範囲を塗ってもムラが出来にくかったです(ただし風邪っぴきだと以下略)。
乾くのはやや早め
パルプ紙ほどではないのですが、同じ価格帯のコットン紙であるウォーターフォードやランプライトと比較すると、乾くのがやや早め。そのためじっくり塗るのには向かない紙です。
しかし決してデメリットでもなく、ある意味時間との戦いになるInktoberやワンドロの場合、これが逆にメリットになります。特に重ね塗り派の人の場合はメリットでしかない。
この絵はパーツによっては3回位重ね塗りしてます。あと、アルシュやウォーターフォードみたいにブワッと広がりにくく、またエッジ(デジ絵で言う水彩境界のこと)もできにくいので、透明水彩初心者でも扱いやすい紙でした。
これからどの紙を使えっていうんだ…
突然の廃番により、現在進行系でこう呟いているストラスモア難民が毎日発生しているのが、今の透明水彩沼界隈です。もちろん私もその例外ではなく、他の水彩紙の選択肢を増やす必要性を感じています。…というわけで、ストラスモアに代わる水彩紙を(自分が使った事のあるコットン100%紙に限定して)ちょっと探ってみようかなと思います。
…一番の最適解はミューズさんが真っ白なタイプのランプライトを発売することだと思います(割と切実)
CASE01: 国産のコットン紙で探す
まずは、入手難易度が最も低く比較的リーズナブルに購入できる、国産のコットン紙から攻めていきます。…といっても、実際にはミューズさんが出している3種類しか見たことがないのですが…
- ランプライト
- Beアートペーパー
- Doアートペーパー
このうちBeアートは完全にケント紙レベルで、他の2種と比較しても乾くのがものすごく早いです。水彩にも使えるのですが、鮮やかに発色する反面、水を多く使う技法はあまり楽しめない紙だったので、この紙は素直にマーカーイラスト用に使うのが良さそうです。というわけで、ここではランプライトとDoアートのみに絞ります。
なお、3種の紙の共通の欠点を上げるとしたらいずれも紙が真っ白じゃないこと。惜しい。惜しすぎる。
ランプライト(ミューズ)
今年発売10周年を迎える国産のコットン紙です。2021年のInktoberでお試しした時に一目惚れして、即購入した紙。
中目だけどケント紙みたいな描き心地
紙目はクリームがかっていますが、ワトソンほど濃くはないです。紙肌は中目なのですが凹凸は控えめ。ストラスモアとはまた違う感じのスベスベ感で、ペンの引っ掛かりがほとんどなく快適に作業を進められます。まるでケント紙のような描き心地ですが、後述するDoアートペーパーよりはツルツルしていません。水彩だけでなく色鉛筆にもおすすめ。
重ね塗りもリフティングもそつなくこなすが、マスキングにはやや弱い
重ね塗りはきちんと乾かしてから重ねるのを推奨(乾かないうちにやると下の色が若干溶ける)。
乾くのがゆっくりなので、にじみやぼかしのコントロールがしやすく、また量を調節しながらのリフティングも楽にできるのがとても良いです。まだ乾かない状態の所でリフティングすると8割方色を抜くことも出来るので、この性質を活かした軌道修正やソフトライトの表現も可能です。実は空を描くのが一番楽しい紙かも。
ただ、マスキングには負けやすいので、マスキング液は粘着力が比較的弱めなW&Nかシュミンケのものを使うのをおすすめします。マステに関しても同様。
ややナチュラルの色合いなので発色もやや控えめ。暖色系との相性は抜群ですが、寒色系は少し色が沈みやすいかな。ウォーターフォードやストラスモアに比べるとガツンと色が出ないのですが、これはこれで好きです。
Doアートペーパー(ミューズ)
2020年より発売。こちらも2021年のInktoberでお試しして気に入ったので購入。
ランプライトよりも更にツルツルした紙肌&白めの紙肌
紙目はややナチュラル目とありますが、ランプライトよりもクリーム味は少なく、色見本用の紙としてギリギリ使える白さ。紙の凹凸はランプライトよりも更に細かくてツルツルしている為、ペン入れも超快適。水彩以外には色鉛筆やパステル、アクリル絵具やマーカーイラストにも向いています。
坪量が少ない(209g)ので水張り必須です。マステを使った平張りだとたわんでくるので注意。
リフティングとマスキングはまあまあ耐えるが、重ね塗りはやや厳しい
ランプライトと比較するとマスキングにはまあまあ耐えますが、この紙もそこまで摩擦に強い紙ではないので、粘着力の強いホルベインやミツワのマスキング液だと一発で持っていかれそう。リフティングと重ね塗りは何回も重ねるとモロモロが出てくるのでやりすぎ禁止。消しゴムは強くこすりまくらなければ特に問題なし。
なお、重ね塗りは完全に乾燥させてからやらないと色が溶けますし、体感4回以上重ねるとモロモロが出始めたので、出来ることなら重ね塗りはやらないか、多くても2〜3回まででやめましょう。同じく重ね塗りに弱いホワイトワトソン同様、「濃い色は最初から濃い色で塗る」方が、紙には優しいです(ただし難易度は高い)。
発色はランプライトよりは鮮やかに出ますが、姉妹紙のBeアートと比べるとややおとなしめな感じ。あと凹凸が細かいのでスキャナ後の補正作業に影響が出にくいのもポイント高し。
CASE02: 似た様な価格帯のコットン紙から探す
次に、国産のコットン紙よりはややコストが上がってしまいますが、ストラスモアとだいたい似た様な価格帯のものを見ていきたいと思います。とはいえもう既に使ってるよっていう紙ですが…
なおここから紹介するものはほぼ全て海外ブランド製です。
ウォーターフォード(ホルベイン)
何はなくともこれですわ。説明不要の超ド定番コットン紙。
今最も廃番になったら全水彩民が死ぬほど困る紙。
紙の強さや発色は文句なし、だが乾燥後のリフティングだけは諦めろ
発色良し・消しゴムによる摩擦に強い・何度も重ね塗りしても粘着強めのマスキングも全然平気! …という優秀な紙なのですが、乾くとしっかり色が定着してしまうので、乾燥させた後のリフティングだけは苦手。ただ、ストラスモアよりは乾くのがややゆっくりめなので、リフティングをやるならまだ乾かないうちにやってしまうのをおすすめ。
あとこの紙、とても風邪を引きやすい子なので防湿対策はしっかりしましょう。
ホワイトとナチュラルで紙の性質が違う
この紙には紙肌の白い「ホワイト」と、ほんのりクリーム色の「ナチュラル」の2種類が存在します。ホワイトははっきりと鮮やかな色あい、ナチュラルは全体的に落ち着いた色味になります。
乾く速さもホワイトとナチュラルでは若干差があり、ナチュラルの方がホワイトよりも乾きがゆっくりです。ホワイトは広範囲のウォッシュでムラができやすいので、どうも扱いにくいな…と思ったら、一度ナチュラルを試されると良いかと思います。ただしナチュラルは中目しかないのでそこは注意。
私個人としてはホワイトの方が好きかな。因みににじみやぼかしの出方はどちらも同じくらい。
アヴァロン(ホルベイン)
価格帯としてはウォーターフォードやストラスモアと同じ位ですが、それよりも気持ち高めの紙。
目が粗いので細密画には向かない
中目という割には「粗目の間違いでは?」と言わんばかりに目が粗く、凹凸も深いので、細密描写には不向き。
この紙を使っているという人をあまり見かけないのですが、一番の原因は紙目の粗さな気がします…どう見てもコミック系には向いてない。ペン入れどころか鉛筆の下書きすら余裕で引っかかる。(´Д⊂ヽ
重ね塗りとリフティングは問題なし、ただしマスキングは基本NG
表面強度が強いので重ね塗りもリフティングも余裕で耐えてくれるのですが、なんとマスキングに関してはランプライトよりも弱いという疑惑が…。
ホルベインの水彩紙比較表には「マスキング: 最適」となっているのですが、同社のマスキング液でベリベリに剥がれてしまった…という話も聞いたので、マスキングは基本NGだと思った方が良さそうです。試していないけど、粘着力の弱いシュミンケならいるのでは? …と思ったりもしますが、避けた方が無難だと思います。
発色が抜群に良い
紙の色がウォーターフォードやストラスモアよりも更に白いので、発色がものすごく良いです。スキャン画像だと分かりにくいのですが、ピンク系がかなり鮮やかに出ます。ただ目が粗いのでオックスゴールはあると良いかも。
CASE03: 金に糸目をつけないで探す
最後に、コスト度外視で高級のものを使うパターン。ここにくるとお高い紙のオンパレードになりますw
アルシュ(アルジョマリー社)
こちらも説明不要、言わずと知れた最高級クラスのコットン紙。高すぎてガチの本番用にしか使えないやつ…
表面がとても強いが、絵具の弾きもちょっと強い
重ね塗りもマスキングにも強く、ストラスモアやランプライトほどではないけど、多少はリフティングも出来ます。かなり水を吸うのでにじみ・グラデが綺麗に出来て、かつバックランが起きにくいです。
…しかし、しかしだな… 塗ってる最中に絵具を弾くような感じがするんよ…。なので、細目以上の場合はオックスゴールはほぼ必須。極細目はなくても大丈夫そうだったのですが、保険で持ってた方が良いかも。
鮮やかな発色ならブライトホワイトを買おう
アルシュにはほんのりクリームがかった「ナチュラル」と、真っ白な「ブライトホワイト」の2種類あります。ナチュラルの場合、結構濃い目に塗っても、(色にもよりますが)完全に乾くと多少控えめの色に落ち着いてしまいます。決してくすみが強くなってしまうわけでなく、また重ね塗りをすれば概ねこの問題をクリアできるので気にするレベルではないです。むしろ、これはこれで良いと思います。
が、ストラスモアレベルの鮮やかさを求めるのなら「ブライトホワイト」の方が良さそうです。
買うならパッドタイプがオススメ(ただしナチュラルのみ)
アルシュはブロックで買うよりもパッドで買う方が若干お安いです。ただし、ブライトホワイトは平判でないと買えない&取り扱っている所が少ない印象なので、ナチュラルを買う時のみに限定されてしまいますが…
因みに以前はハガキサイズの展開があったのですが、代理店がマルマンになってから廃番に。…が、ナチュラル細目のみは文房堂さんが独自にハガキサイズを販売しています。ありがたや。
キャンソン ヘリテージ(キャンソン) ※追記あり
こちらでご紹介するヘリテージ水彩紙ですが、キャンソン社の諸般の事情によりこの度全製品が生産終了となってしまいました…。パッドタイプは2023年4月の時点で生産中止が発表されていました(↓)が、その後全製品生産中止になった模様です。なんてこった…
…というわけで、ヘリテージ水彩紙に関する情報は参考程度にお読み頂けると幸いです。しかしお試ししてよかった水彩紙がことごとく廃番になってくの悲しいなぁ…
何種類もあるキャンソンの水彩紙の中で、最高級クラスの紙。お値段もアルシュといい勝負なのですがちょっとだけこちらの方がお安いです。サイズ展開が少ないですが、買う時はパッドタイプが最もお得。
表面強度がとても高いが、粘着力の強いマスキングはNG
重ね塗りも消しゴムも余裕で耐えますが、粘着力が強めのマスキングにはあまり強くないとの噂が。私がお試しした時にはマスキングも使わなかった上、水張りもしなかったのでマスキングテープの耐久度はチェックしなかったのですが、マスキングテープに関してはヘリテージを含めた水彩紙を相手に検証実験をした先駆者がいらっしゃいます↓
ヘリテージは一番粘着力の弱いmintでも「問題なく使えるが若干エッジが荒れる」…という結果を見る限り、この紙は素直に水張りテープを使う方がいいのかな…。
マスキング液はシュミンケなら耐えるのでは…と思っているのですが、これもエッジが荒れそう。
とても鮮やかに仕上がる
ストラスモアやアヴァロンと同じく紙目がかなり白いため、鮮やかな色あいに仕上がります。特に赤と青の発色がとても綺麗で、とりわけマゼンタ系はカラーインクで塗ったのかと錯覚するような鮮やかさで感動を覚えるレベル。
さすがはマイメリのドットシートに使われるだけあるなぁ…。
紙の凹凸がかなり目立つ
極細目はそこまででもないのですが、細目と荒目は紙の凹凸が際立って目立ちます(この写真だとちょっとわかりづらくて申し訳ない…)。荒目はまぁ仕方ないのですが、細目の場合は好みが分かれそう。でも紙の凹凸が大きいことは決してデメリットだけでなく、分離色を使う場合ならむしろ有利に働きます。
水をやや少なめにすると、細目でも乾くのがやや早くなる
これ、言い換えれば「ストラスモアの時と似た様な塗り方で作業を進められる」って事なんです。もちろん水多めにしてじっくり作業を進めることも出来ますが、手早く作業したい方や重ね塗り重視の方にはとても有難い紙。
残念ながらストラスモアほどリフティングは出来ないのですが、ぼかしやにじみは水の量を控えめにするとストラスモアに近いところにまで抑えられたり、水多めでウォーターフォード相当にまで広げたりすることも出来ます。
おや…? もしかしてこの紙…ストラスモアやウォーターフォードの上位互換になりうるのでは…?
ハーネミューレ セザンヌ(オリオン)
おそらくこのケースでは一番お手頃に買えるコットン紙ではないかと。
昨年のInktoberでお試しした中で「絶対買おう…!」と決めた紙がこのセザンヌなのですが、その後絵の具の値上げラッシュやストラスモア廃番でそっちを買い足していたため、なかなか購入機会に恵まれないでいます…。
重ね塗り・リフティングOK、マスキングは紙の状態によっては避けよう
細目は重ね塗りした時にちょっと荒れそうな感じだったので、若干デリケートな紙かな…? と感じましたが、中目・荒目は特に気にせず使えた印象です。が、ウォーターフォードほどの強度はなさそうなので、マスキングは1回きりで。
紙の凹凸は荒目でもそんなに目立たないです。むしろヘリテージ細目の方がセザンヌ荒目よりも粗く見える件。
中目と荒目はゆっくり乾くので、にじみやぼかしがとても綺麗に出来ます。中目はアルシュと似た様な広がり方をするのですが、個人的にはアルシュよりもセザンヌの方が広がり方が好きです。荒目も塗りやすくて捨てがたし。
「ちょうど良い」色で仕上げられる
派手すぎず地味になりすぎず、ちょうど良い色で仕上げることが出来るので、癖がなくて扱いやすい紙だと思います。特に、アルシュが今ひとつ合わないなあ…と思っている方にこそ、一度使ってほしいです。
なお下塗りの色を間違えると全体的に色が濁ったようになってしまうので、濁りにくいような色(透明色)を選ぶか、いっそ下塗りしないで最後に上から色を重ねる方が良いです。
迷ったらまずはハガキサイズやアソートパックでお試ししよう
<内容>
セザンヌ水彩紙(300g)中性紙
コットン100%
10枚入り
中目
四方固め
HCM-PC 中目 (No.629311)
<内容>
セザンヌ水彩紙(300g)中性紙
コットン100%
20枚入り
中目
<用途&g…
セザンヌは基本的にブロックとポストカードパックのみの展開で、スケッチブックやパッドタイプでの展開はありません。代わりに、比較的お求めやすい価格でポストカードサイズが発売されています。枚数が少ないのでまあまあいい値段になってしまいますが、それでもアルシュやヘリテージよりはお試ししやすいです。
水彩紙12種、各1枚(上から順番に入っています)
01.シリウス特厚口
02.ワーグマン350g
03.アクリルデ…
水彩紙12種、各1枚(上から順番に入っています)
01.シリウス特厚口
02.ワーグマン350g
03.アクリルデネブ
04.こみ…
セザンヌどころか、オリオンの紙自体使ったことないよ! という方には、こちらのスターターパックがオススメ。
1枚ずつですが12種類の水彩紙をお試しする事ができます。ハーネミューレ製品もすべてお試し出来ます。私はポストカードサイズでお試ししましたが、じっくりお試しするならB5サイズをおすすめします。
W&N プロフェッショナル水彩紙(ウィンザー&ニュートン)
お値段も結構する上にラインナップがブロック2種類のみの展開。その為か、なかなか使っている人を見かけないW&Nのコットン紙。お試しする機会もないのはもったいない…
何で荒目だけ持ってるかっていうと、昨年買った「THEDAY2022」の特別セットの中に入ってたからです。↓
表面はとても強いが、絵具の弾きも(以下略)
重ね塗りもマスキングも余裕で耐えるし、水張りなしの状態で水多めに使っても全然へこたれません。
…が、絵具の弾きも強くて塗りづらかったのでオックスゴール必須。上の絵はオックスゴール無しで塗ってますが、かなりザラッとしてます。荒目だからある程度は許容しないといけないけど、それを差し引いてもギザギザが目立って残るのはちょっとよろしくないかなと。これはこれで味があって良いとは思うのですが…
こちらはオックスゴールあり。主線をリキテックスリキッドで描いた影響もあって、上の画像(鉛筆主線)と比較すると全体的に整っているせいもあるのですが、なめらかに塗れているのがおわかりいただけるだろうか…
発色は綺麗、オックスゴールを使うと更に色の深みが出る
この絵は水張り後、更に表面にオックスゴールを混ぜた水を引いてから色塗りしているのですが、重ね塗りした部分は濃く深く色が出ました。この画像じゃ分かりにくいのですが、髪の毛は実際にはもう少しピンクが濃い目です。マゼンタ系の発色はものすごく綺麗に出ます。
ただ服は1回目の重ね塗りの時点からかなり濃い目に色を置いたはずなのですが、少々薄くなったので結局5〜6回は重ねたと思います…。しかしそれでもボロボロにはならなかったので、アルシュよりも表面強いかも。
コットン紙の中で最も試しづらい価格&ラインナップなのが残念
紹介した旧版の荒目はまだいいが(それでも18×26サイズで4000円弱)、リニューアル版の価格がエグすぎる。
- 17.8×25.4サイズ → 5709円
- 25.4×35.6サイズ → 8173円
似た様なサイズで比較するとアルシュよりはマシなのですが、ブロックタイプでこれだけ高いのなら、平判サイズも出して欲しかったです。物は良いだけに非常に残念。
お試し出来ていないけど良さそうな紙
アルティスティコ エキストラホワイト(ファブリアーノ)
中目のF4またはF6サイズのみに限定するならば、比較的買いやすい価格帯ですね。それ以外の規格だとW&Nといい勝負かな…。この紙を使っている方は結構多い印象なので気になっています。
画材販売.jpさんが中判サイズのバラ売りをしているので、お試しするならまずこちらを買うのが良さそう。
ラングトン プレステージ(ラウニー)
こちらはセザンヌと似た様な価格帯。中目と荒目のみで細目はありません。しかし中目でもそこそこ目が荒いという話を聞くので、紙目が荒くないものを好む人にはおすすめしづらいな…という印象。
ただラインナップを見ると、中目にはハガキサイズ(12枚入り・1210円)が、荒目には平判(560x750mm・1485円)がそれぞれ用意されているので、比較的お試しはしやすい紙だと思います。どちらもAmazonで検索条件細かく指定しないと、検索結果に出てこない気がするけど…
ストーンヘンジ アクア(ミューズ)
リフティングは可能だが、マスキングには死ぬほど弱すぎるという紙。
平判とブックの2種類展開。こちらは細目と荒目の展開で、中間にあたる中目のラインナップはありません。ブックタイプは結構色んな所で購入可能ですが、平判はミューズの公式ショップか画材販売.jpさんでしか見かけない気がする。いきなりブックを買うのは怖いので、まずは平判でお試ししたいです。
まとめ
バランスの良いセザンヌと発色最高なキャンソンヘリテージが激アツ
長くなってきたのでまとめますと、
- コスト重視 or 国産にこだわる場合 → Doアートペーパー or ランプライト
- リフティング命! な方 → ランプライト
- 白い紙が良いが、ストラスモアよりも高いのは嫌 → ウォーターフォードホワイト or アヴァロン
- 色の鮮やかさ重視 → キャンソンヘリテージ
- 凹凸が目立ちにくく、かつクセのない紙が欲しい → セザンヌ
…といったところでちょっとお試ししてみても良いかなと。
特に、キャンソンヘリテージは普通にストラスモアやウォーターフォードの上位互換になりうる紙じゃないかと思います…! お試しに最適な平判を取り扱っている所が少ないので、お試し目的でパッドタイプを買うには勇気がいりますが、紙の凹凸を気にしないなら激推しの紙です。
次点としましては、ストラスモアの互換になるかという所からは若干離れますが、紙の凹凸が目立たず、クセがなくて使いやすいセザンヌもぜひ使ってみてほしいです。
でも最適解はやはり白いランプライトが出ることだと思う
ストラスモアを使っていた人の多くが
- 紙の凹凸が目立ちにくいものが良い
- 重ね塗りもリフティングもマスキングもバッチコイな強い紙が良い
- アルシュやウォーターフォードに苦手意識がある
といった理由が多くて、ランプライトを使う人の場合も「ウォーターフォードがなんか合わない」という理由が多かったりするので、そう考えるとやはり一番の最適解は
- 白いタイプのランプライトを発売する
- Doアートペーパーに坪量300gのタイプを追加する
- ホワイトワトソン(※これは混合パルプですが…)に目の粗くないタイプを追加する
かな…と。
特に白いランプライトや細目レベルのホワイトワトソンが出てくれれば、大多数の水彩沼の住人たちが救われると思います。ミューズさん…いずれか1つだけでも良いので発売する予定はございませんか…。