ポールルーベンスのコットン100%を謳う水彩紙をゆるくレビュー

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キラキラ水彩紙以外の紙のレビューってあまり見ないなぁ と思いまして

ポールルーベンスのキラキラ水彩紙のレビューは、似た様な時期にPR記事を書かれていたブロガーさんがいたのでよく見かけるのですが、それ以外の紙ってあんまり見ないよね…? と思いましたので、コットン100%を謳う水彩紙を買って人柱してみました。※だいぶ激辛です

因みに、混合パルプの「カバースタイル」というタイプの水彩紙はつらら庵さんが動画でレビューされてます。↓

買いました

というわけで購入したものがこちら。

100%コットン(と謳う)水彩紙

本当はもう少し小さい「32切」というサイズのものがあるのですが、そちらはAmazonでは購入できなかったため、やむなく大きい方の「16切」を購入(1700円ほどで購入)。一般的なブロックタイプの水彩紙と違い、結構強度の高いハードカバーに綴じられています。

なお、コットン100%タイプは黒いカバーの他に白いカバーのものもありまして、今回購入した黒いカバーの方は「中目」、白いカバーの方は「細目」のようです。なお、白い方も商品の表紙カバーにCold Pressと書かれていますが、Amazonの方に上がっている写真にHot Pressの記述が見られるので、白い方はおそらく細目だろうと思われます。

紙は光に当てたらめっちゃテカりまくるレベルでコッテコテに糊付けされています…。 定規や100均のペーパーナイフだと下の紙にダメージを与えてしまいやすいので、素直にホルベインのブロックリーフを買いましょう…!

大きさはB5以上A4以下かな

アルビレオのSMサイズと比較。大きさはSMサイズよりも一回り大きい程度ですかね…?

中国の紙の規格は一般的な画材紙のサイズ(F0とかF2とか)とも日本のJIS規格(A4とかB5とか)で定められているものとも異なるので、ちょっと混乱しそう。最も、描く前に切り離して規定のサイズに断裁すればいい話ではありますが。なお、「32切」はこの半分ほどのサイズ(※だいたいA5とB6の間くらい)になります。

トラブル回避のためにも、購入は正規販売元で!

フリマや個人輸入で買うよりは、Amazonか楽天の正規販売元から購入する方が安全です。

以上が正規の販売元になります。ただ、在庫状況が全く違うので注意(特にAmazonは品薄になりやすいです)。

FASTSALESDIRECT(楽天)で購入時の注意事項

楽天の正規販売元より購入する場合は個人輸入扱いになるため、以下の点については要注意です。

  1. 注文情報が中国へ移転すること
  2. ポイント・クーポン利用前の商品代金の合計金額が16,666円以上の場合、通関時に関税・輸入消費税がかかる(課税額が確定するのは通関時/関税は商品受取時に着払いで支払い)
  3. 海外からの発送の場合、手元に届くまでに半月ほどかかる

特に1は難色を示される方もいるので、それは困る…という方はAmazonの方を利用するのが良いかと思われますが、Amazonに在庫がなくてこっちなら在庫があるという場合ならやむを得ないかも…。

あと「一部商品は国内提携先倉庫より発送」と書かれているのですが、同じく中国系のXP-Pen楽天市場店でのケースを見るに、Amazonの国内倉庫から発送ではないかなと思われます。知らんけど。

さぁ、ヒトバシラーのお時間ですよ

まずは紙目をチェック

この紙は両面使えるそうなので、表と裏の紙目を比べてみました。

両面使えます

…うーん。これ本当は裏の方が中目なのでは…? 表、中目という割には目が荒いんですけど。

他の水彩紙と比較してみる

他の水彩紙と比較

手持ちの他の水彩紙と比較してみたところ(ここでは表の方で比較しています)。

どう見てもW&Nの荒目とほぼ同じくらいの目の荒さ(なんならW&Nの方が気持ち紙目が細かく見えるw)なのに、これで中目なんだ…。なお、同じく中目なのに荒目っぽいアヴァロンやラングトンプレステージ中目とも比較してみましたが、やっぱりポールルーベンスの方が荒く見えました。

キラキラ水彩紙とも比較してみた

ラメ入りのほうがちゃんと中目してる

同じポールルーベンスのキラキラ水彩紙とも紙目を比較。

同じ中目なのに目の荒さがダンチ過ぎるんですが…どうしてこうなった。キラキラ水彩紙からラメを除いた状態の紙で出す事は出来なかったんですかね…

実際に塗ってみた

もうこの時点で色々雲行きが怪しいのですが、試し塗りしてみます。なお、スキャン画像は紙目の違いを見てもらうため、あえて紙目を読み込む設定にしてスキャンしました。

表に塗ってみた

うーん…。うーーーーーーーーーーん。

これ、コットン100%じゃなくて木材パルプ100%の間違いじゃないかな…。

ガッツリ絵の具を削れて、なおかつ重ね塗りすると色が溶けるってこれ木材パルプの紙の特徴そのものじゃない…?

あと、高吸収って書いてるくせに、にじみ・ぼかしともにとても広がりにくかったです。重ね塗りは薄く塗った部分を完全に乾かした状態から薄〜くやる分にはできそうですが、高確率で下の色が溶け出すので向いてなさそう。

そして中目の紙にしてはストロークの出方がすごく荒い。やっぱり荒目の間違いなのでは…

裏面に描いてみたところ

やっぱりこちらが表じゃない…? 紙目的にもこちらが中目っぽいですよ。

こちらの方がまだ使いやすいし、ウェットインウェットもまあまあ綺麗に出来ます。表だとエッジが若干強く出やすい印象でしたが、裏はそこまで目立たないですね(エッジが全く出ない訳ではない)。ぼかし・にじみはこちらの方が広がり方が好き。でもコットン100%紙の色の乗り方ではないです。

発色は表裏ともに差はなく、彩度高めの色や濃く塗った所は綺麗に発色します。淡い色は少し色が沈みやすいです。また今回オックスゴールを使っていないのですが、オックスゴールありだと多少扱いやすくなるかも? と推測。

おまけ: キラキラ水彩紙でも同じようなものを作ってみた

キラキラ水彩紙は正しくコットン紙でした

ラメはスキャンでは出ないので画像では分からないんですが、角度を変えるとさり気なくキラキラします。かといって、そこまで主張してこない程度のキラキラ具合なので色塗りの邪魔になりません。

…うん、コットン100%の中目の水彩紙の色の乗り方はやっぱりこうですよ。これを塗った時点で改めて黒カバーのアイツはコットン入りの紙じゃないと確信。重ね塗りも普通に出来るし、ぼかし・にじみがそつなくきれいに広がるので、塗ってて楽しかった…!

twitterで使い心地がストラスモアに近い…っていうのを見たんですが、確かに値段帯的にもストラスモアの下位互換に十分なりうると思いました。クセがなくてとても使いやすいです。

この紙からラメを抜いたものを100%コットン紙として売ればいいのに…(大事なことなので何度でも叫ぶ)

分離色との相性は最高に良い

控えめに分離するターナー海外色もわかりやすく分離する

これだけ目が粗いので、分離色を使う場合には一番適していると思います。分離の仕方がおとなしすぎるハルモニアのウィッチボルドーや、ターナー海外色もわかりやすく分離します。右上が若干分かりづらいですが…

正規販売元の取扱商品には、派手に分離することに定評のある中国の水彩絵具「スーパービジョン」があるんですが、コレとの相性を考えての紙目の荒さなのだろうか…?(そんなわけない)

なんかワーグマンやアクリルデネブに似てる…?

裏面に塗った時の絵の具の乗り方が、オリオンのワーグマンやアクリルデネブの裏面(目の荒くない方)に塗った時とちょっと似ているなぁ…って感じたんです。なので、日頃からワーグマンやアクリルデネブで作品制作や練習をしているという方なら、この紙はそこそこ違和感なく使えるんじゃないかと思います。

お値段的にはワーグマンもアクリルデネブもSMサイズであれば大体似た様な価格帯なので、興味がある方は使い比べてみるのも良いかもしれません。あくまで木材パルプ紙として比較するなら、ですが…

白いカバーの方も買ってみました(※2023/03/22追記)

黒いカバーの方を買った当時は品切れで買う事も出来なかった白いカバーの方のコットン紙ですが、最近になってAmazonの方で在庫が復活していたので、こちらは32切サイズの方を購入してみました。

簡体字(それとも繁体字?どっちだろ…)表記で「細目」と思われる表記があるんですが、Cold Pressed(中目)って書いてありますね…。これは日本なら普通にJ●RO案件なのではw

紙目をチェック

ラメ入り水彩紙と比較。…うーん、Cold Pressed表記は間違ってないっぽいのかな。気持ち本品の方がちょっと細かく見えるかな…? という気もしますが、こうやって見ると目の荒さにあまり差がないように見えます。

やっぱり黒い方は中目ではなく荒目じゃなかろうか。中国の極細目/細目/荒目の基準ってどうなってるの…

塗ってみました

おお、めっちゃ塗りやすい…!?

重ね塗りもにじみ・ぼかしも先述のラメ入り水彩紙とほぼ変わらない感じだったので、これはコットン100%で間違いなさそうです。リフティングもそこそこ取れますしマスキングも出来ます。ただちょっと水彩境界が出来やすいかな。

乾きはラメ入り水彩紙よりもやや早い感じで、この辺は先ごろ廃盤になってしまったストラスモアに似ているかな、と。お値段的にもストラスモアの下位互換に十分なりそうなので、ストラスモア難民は32切サイズでいいので一度使ってみてほしい紙。ストラスモアよりもやや乾くのが早いですが、ほとんど同じ感覚で使えると思います。

ただ、(ポールルーベンスの紙全般に言えるのですが)在庫の流通と紙質が安定していないのがネックですね…

まとめ

黒いカバーの方は本番用としては買うのをおすすめしません

黒カバーの方は中目でありながら表も裏も紙目が荒めなので、パステルや色鉛筆との相性はまあまあ良さそうな感じがします。アクリルデネブやホワイトワトソンほどではないにせよ、紙地もかなり真っ白に近いので、ぼかしや淡い色も綺麗に出ると思います。ただし水彩の場合はブロックからはがして裏面に描くのを推奨します。

そして糊付けがコッテコテすぎるのでホルベインのブロックリーフはほぼ必須です。一般的なペーパーナイフやパレットナイフだと、慎重に剥がさないと下の紙に傷がいってしまいます。マジで。

あと繰り返し申し上げますが、黒カバーの方は紙質的にコットン100%ではないです。そして混合パルプでもない。100%木材パルプだと思います。正真正銘のコットン100%であるキラキラ水彩紙と比較すると、絵具のノリ方が全く違うので…

淡い色は多少沈んでしまいますが、発色自体は悪くないので、色見本などを作るのには最適だと思います。ブロックタイプにしては枚数も結構多い方なので、水彩技法の練習用にもおすすめです。ただし、にじみやぼかしを使う技法はあまり得意な紙ではないのがちょっとひっかかるかな…

消しゴムにも摩擦ダメージにも粘着力強めのマスキングテープにも耐えるので、決して悪い紙ではないと思うのですが、なかなかに癖の強い紙なので、本番用としてはちょっとおすすめできないかなと。

白いカバーの方とキラキラ水彩紙は買っても失敗しないのでおすすめ

本番用として買うなら、白いカバーの方か、キラキラ水彩紙の方が断然おすすめです。

どちらもクセがなくて塗りやすいです。特に、ストラスモアがお気に入りだったという人は違和感なく使えるのではないかと。これとは逆に、乾きのゆっくりなランプライトに慣れている人だと、乾きの速さにアワアワしちゃうかも。でも修正のしやすさはランプライトに通ずる物があるので、ランプライトを使っている方にもおすすめ。

あと、白カバーの方は色によっては若干シボシボした感じが出てしまうので、コレはちょっと好みが分かれそうですね…。また、ラメ入り水彩紙と比較すると若干色が薄くなる傾向があるので、濃く塗る場合は絵の具の量を気持ち多めに含ませた方が良いと思います。そして例によって糊ガッチガチなので、ブロックリーフをご用意下さいw

白い方とラメ入りは結構気にいったので、そのうち16切サイズを買おうかな。

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