年に一度の大掃除! パレットクリーン大作戦2025

新年を迎えたので、毎年恒例の年末のパレット掃除と絵の具入れ替えの時期になりました。昨年は能登半島地震で被災して書くのがだいぶ遅くなったんですが、今年は早い時期に書くことが出来そうです。


その能登半島地震から1年(※記事執筆時)になりますが、復興はここに来て亀の歩みになってしまったような気がします。特に奥能登エリアは9月の豪雨で振り出しに戻ってしまってるので。中能登エリアにしても、めっきり報道される機会が減った液状化被害が出たエリアにしても、復興が進んだ感は残念ながら皆無です。1年経っても屋根や建物に張られているブルーシートの数が一向に減らない。公費解体も順調に進んでいるようには見えない。電柱が傾いたまま1年が経ってしまった所だってザラ。なんなら未だに1年前で時が止まっている所だってある。

…こんな状態で今年は復興元年にしますとか正直ふざけんじゃないよ、というのが率直な気持ち。まだ全体の半分どころか3割すら復旧してないじゃないですか。宣言するならせめて8割方復旧させてからにしてください

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2024年のパレットを振り返ってみる

とまあ地震の愚痴はそれくらいにして本題へ。

実は年末にパレットの状態を取り忘れてそのままお掃除してしまいまして…。なんとか2024年6月頃くらいのパレットの状態を取った写真が残っていたので、代わりにこちらを…

入れ替えからおよそ半年でこれ。まあまあ汚い…。因みにInktoberが分離色縛りだったこともあり、後半は減り方がかなりスローになったのですが、前半は混色パターンを色々試していたりポストカードより大きいサイズで描いたりとかしていたので、結構ゴリゴリ減ってました。色によっては3回位補充してます。入れていた色はこちら↓

震災から1年を経てようやくスキャンできた
裏面には地震の爪痕がより生々しく残っている

表にも裏にも、地震で飛び散った筆洗水や飲みかけのココアの飛沫が残っていますが、敢えて作り直さず1年使いました。地震でめちゃめちゃになった作業部屋を片付けている最中に見つけて、乾燥途中だった絵の具も色見本も無事だったのを見た時、色見本に「一緒に乗り越えよう」って言われた気がしたんです。

粒状化色、結構使いました(自分比)

苦手意識のあった粒状化色を初めて入れたのですが、意外にも結構使ってました。目の荒い紙でさえなければ粒状感は抑えられる…と分かってからは、より積極的に使うようにしました。特にコバルトターコイズはほぼ初めて本格的に使う色だったこともあり、最初にいろんな混色パターンを試していたのでゴリゴリ減りました。

他の粒状化色も意識して使うようにしたせいか、こちらも減るのが早かったです。2年前に全く使いこなせず挫折したキャプトモータムバイオレットも、混色でいい感じになるという成功体験を得る事ができてよかったです。

キャプトモータムバイオレットにホルベインのカケスを混ぜて塗った例(髪部分)

当初ペリレーンバイオレットを入れる予定だったのを、キャプトモータムバイオレットへ変えたことに若干の不安があったのですが、今にして思えばほぼ杞憂だったかな。

ブラウンマダーあまり使わなさすぎ問題

2022年のパレットで初めて入れたブラウンマダー、暗赤色として使ってみたら思いのほか重宝したので、以来ずっと続投していたのですが、2024年ではブランドをターナーからW&Nに変更。しかしそれがマズかった。

なんか隣のポッツォーリアースとの区別が分かりづらい。

それもそのはず、ターナー(PR175)とW&N(PR206)じゃ使われている顔料が違うからなのですが、入れた当時は同じ感覚で使えるだろうとたかを括ってたんですよね。しかし実際に使ってみるとなんか思ってたんと違うと。濃く塗った時に深みが僅かに足りないと感じてしまったんですよね…。色見本で見比べても、やっぱり隣のポッツォーリアースと色味が似てるような気がする、と…(私の塗り方に問題がありそうですが)。

なので、2025年のパレットではもっとわかりやすい色味の暗赤色に置き換えることに。

PR206とターナー ブラウンマダーの顔料構成について

PR206・キナクリドンバーントスカーレットは2〜3年ほど前に廃番になったようで、この顔料を使ったものは順次PR179・ペリレーンマルーンを使ったものに差し替えられるとのこと。なので、W&Nのブラウンマダーも顔料変更で今後色調が変わる可能性があります。

既にPR179に変更になった物が市場に出回っている可能性もあります。

また、ターナーのブラウンマダーに関して、手持ちのものはPR175の単一顔料のものですが、こちらも顔料構成が変更になったのか、公式のカラーチャートではPR209・PBr25になっています。主要ECサイトで流通中のものには顔料PR175のものも混在していると思われるのですが、正しいカラーインデックス一覧(※下記URIのPDF参照)を見る限り、単一顔料のものは旧品で、PR209・PBr25が現行品の模様。

ほぼ捨て色がなかった

前述のブラウンマダーを除き、ほぼ全ての色をまんべんなく使えたと思います。特に興味本位枠だったキナクリドンバイオレットとイソインドリノンイエローディープが大活躍でした。

そしてやはり肌色として使っているポッツォーリアースとライトレッドの減り方がエグくて、こちらも覚えている限りでは2〜3回位は補充しました。最初に充填した時にこの2色は多めに入れたはずなのですが、それでも少なかったようです。ポッツォーリアースは最終的にはハーフパンをケースから引っ剥がしましたw チューブ残量はまだまだあるんですけど、先に買って使っていたハーフパンを使い切りたかったので…

2025年のパレット構成を考える

例によって前年の反省点を踏まえつつ、2025年のパレット構成を考えていきます。

2024年の構成にあまり不満がなかったので、最終的には一部を変えるのみに留めてあとは同じ色を続投する形になりましたが、それでもちょっと悩んだものはありました。

固形化したら溶けにくいカドミウムフリーイエローペールをどうするか問題

発色強め系の黄色として、これまでずっとW&Nのカドミウムフリーイエローペールを入れているのですが、早々とカッチカチになって溶かしにくくなってしまうので、他の黄色に置き換えたいなとふと思ったのです。

..が、絵の具をチェックしていた所、黄色が3本ほどがカッチカチに固まっていて、チューブから出せなくなってしまってました…。結局続投することにしましたが、次に買うならチューブでなくハーフパンだなと思いました…

どうしても入れてみたかった色

ウルトラマリンバイオレット(ターナー)

初めて買ったターナーの透明水彩がこの色なんですが、全くと言っていいほど使っていなかった…。

粒状化色であり、固めると溶かしにくく、ディオキサジンバイオレットと比較してあまり深い色味で塗れない(発色が穏やか)のですが、とてもいい色なのです。なんとか仲良くなりたいと思って初めて入れてみることに。

混色パターンを試してた最中にチューブを使い切ってしまったので、パレットに追加充填した分がなくなったらW&Nのウルトラマリンバイオレットに切り替える予定です。W&Nはチューブ出したてでも溶かしにくい色が結構多い(ローズドーレやパーマネントモーヴとかはもっちゃり感が特に強い)のでハーフパンで調達。

ただこれすらも溶かしにくかったらもうセヌリエかミジェロを買うしか…

ローズマダーヒュー(ターナー海外色)

ジャパネスクカラー2に収録されていた色。ブラウンマダーからの置き換え。こちらもせっかくジャパネスクカラー2を買ったのに、買っただけで終わっていたので…。ホルベインのローズマダーでも良かったのですが、耐光性の問題からこちらをチョイス(ローズマダーは耐光性がやや低め)

ローシェンナ(ミジェロ ミッションゴールドクラス)

ミジェロは今回初めてなのですが、ブランドだけでなくローシェンナ自体も初めて入れる色だったりします。スピナルブラウンよりも明るめなので、ローシェンナにしてはとても彩度が高い。薄く塗るとちょっとイエローオーカーと色味の差が分かりにくい気がするのですが、なんとか使い分けしてみようと思います。

ターコイズブルー(ターナー)

2022年のパレットに入れたものの、粒状化色ゆえに全く使いこなせず、次の年以降は外してしまった色。ただ昨年粒状化色や分離色と正面から向き合ってみたことで、粒状化色に対する苦手意識が以前よりは薄れてきたかなと感じ、もう一度この色と向き合ってみようと思ったのです。

今まで入れていたマンガニーズブルーノーバを置き換える形で入れる事にしましたが、粒子の滑らかな水色を入れない事には若干の不安もあったりはします…

インダンスレンブルー(W&N・ターナー海外色)

今年はインダンスレンブルーを用途別で2色入れてみることに。その理由はこの画像を。↓

同じPB60単一顔料なのにここまで色味が違う

同じPB60・インダンスレンブルーの絵具なのに、色味がこんなにも違う。一番ポピュラーな色味は真ん中(他にはホルベインのロイヤルブルーなど)で、その次が一番右のデルフトブルーです。

ターナーのものだけこのどちらの色味にも当てはまらなくて、「ニュートラルチントにフタロブルーかプルシアンブルーを混ぜてジェネリックインディゴにしたん?」みたいな色(謎)をしているのです。これを逆手に取って、ターナーの方をインダンスレンブルーとしてではなく、インディゴの代わりとして使ってみようと。

ただそうなるとデルフトブルーでは色味に差がつかなくなりそうだったので、デルフトブルーの代わりにW&Nのインダンスレンブルーを入れることに。片方全く使わんかった…なんて事にならない様にしたい。

入れる色を決めたらパレットを洗う

残った絵具をこそげ落として、重曹入りウェットティッシュで拭き取れる範囲は拭き取ってから洗い流します。

今回は顔料が染みつきすぎて消しゴムだけでは時間がかかりそうだった(あと消しカスを除去するのがかなり面倒になりそうだった)ので、アセトン入りのジェルネイル用リムーバーを使うことに。最初ノンアセトンのネイルリムーバーで試みたのですが、全然落ちなかったのでアセトン入りを買い直し。

アルミ製品の汚れ取りに重曹やネイルリムーバーを使うのは原則NGなので、使う場合は自己責任で!

一通りキレイになったところで絵具を出していきます。

チューブやハーフパンを並べた写真を撮っておくと後の作業がスムーズになるよ!

こうしてみると今年は若干ターナー率高くね…?

…というわけで、固形化させると途端に溶けにくくなるターナー対策として、今年はいつものオックスゴールと、アラビアゴムメディウムの代わりに本物の蜂蜜を混ぜてみることにしました。

蜂蜜には防腐作用があると言われていますが、既成の絵具に蜂蜜を混ぜるのは当然ながらメーカー非推奨なので、やる場合は自己責任で! なお最適解はマイメリかセヌリエの蜂蜜入りアラビアガムかな…

多く入れてしまうといつまでも乾かないままなので、入れる量はごくごく少量に。混ぜきった時にちょっととろみがあるかな程度になるようにしましたが、想定外に入ってしまった色ももちろんありますw

完成したパレットがこちら。今回は蜂蜜入りなのでいつもよりも長めに乾燥期間を取ることにしましたが、早いものは3〜4日程で既にカチカチになってました。しかし茶色系は未だにペタペタしますw

パレットに入れた色を簡単に紹介するよ

昨年よりも粒状化色の割合が少し増えてます

前述の通り乾燥期間を長くしたので、今回の色見本は紙パレットに別途色を出し、それを利用して作りました。

パレットに入れた色を簡単に紹介

黄(3色)

  1. イエローオーカー(W&N)
  2. イソインドリノンイエローディープ(ホルベイン)
  3. カドミウムフリーイエローペール(W&N)

黄色はすべて続投。イエローオーカーはPR101が配合されていて黄色としてもより使いやすくなっているターナーを採用しようと思っていたのですが、ミジェロのローシェンナと区別がわかりにくかったので今年もW&Nを続投。

カドミウムフリーイエローペールは蜂蜜を入れたにも関わらず最速でカッチカチになっていたので、一抹の不安を感じています…。溶かしにくかったら充填分引っ剥がしてハーフパンを買ってくっつけようかなぁと。

緑(4色)

  1. オリーブグリーン(ホルベイン)
  2. サップグリーン(クサカベ)
  3. ウィンザーグリーン ブルーシェード(W&N)
  4. プルシャングリーン(シュミンケホラダム)

今年は緑が1枠増えてます。2024年のパレットで入れなかったオリーブグリーンと、当初入れる予定だったものの直前でコバルトターコイズに変更したので外してしまったプルシャングリーンを追加。残りは続投。

チューブから固めるとカビることに定評のあるW&NのウィンザーグリーンBS、やっとチューブがそれなりにぺたんこになってきたので、無くなってもリピートはやめとこうと思います。他メーカーのフタログリーンBSではあまり見られないので、W&Nのものは防腐剤などの配合割合が少なかったりするのかもしれません。知らんけど。

青(5色)

  1. ターコイズブルー(ターナー)
  2. ウィンザーブルー グリーンシェード(W&N)
  3. ウルトラマリンディープ(ターナー海外色)
  4. プルシアンブルー(ターナー)
  5. インダンスレンブルー(W&N)

ウルトラマリンは2024年では粒子の荒さ別で2種類入れていましたが、今年は思い切って粒子の荒いもの1種類に絞りました。マイメリのウルトラマリンディープを買うか、使い切ってしまったW&Nのフレンチウルトラマリンをリピするかで迷いましたが、ジャパネスクカラー2に入っていたターナーのウルトラマリンディープを入れることに。

しかしやっぱりターナーのウルトラマリンはどっちも若干鼻につくニオイがします。チューブから出す度に「中身劣化してないよね…?」と心配になります…

ウィンザーブルーGSとプルシアンブルーは続投。

紫(3色)

  1. ディオキサジンバイオレット(ターナー)
  2. ウルトラマリンバイオレット(ターナー)
  3. キナクリドンバイオレット(W&N)

紫は前述のウルトラマリンバイオレットを追加したので3色になりました。ディオキサジンバイオレットのみ青の横、残りは赤系の隣に配置。キナクリドンバイオレットは続投。今年こそペリレーンバイオレットを…と思ったのですが、ウルトラマリンバイオレットと後述のマースバイオレットを入れる事になったのでまたしても見送りに。

赤(4色)

  1. ローズマダーヒュー(ターナー海外色)
  2. ベルチーノバイオレット(マイメリブルー)
  3. キナクリドンレッド(ホルベイン)
  4. スカーレットレーキ(W&N)

ローズマダーヒュー以外はすべて続投。続投した3色はほぼ絶対に外せない固定色なので、残りの一枠で冒険する感じになってます。もう少し冒険してもいいんじゃね? と思いつつも、ないと不安になるので。

朱色枠は2年ぶりにパーマネットスカーレットからスカーレットレーキにしました。どちらも全く同じ顔料ゆえに、使い勝手もほぼ一緒なので非常に助かる(薄く塗ったら気持ちW&Nの方が彩度高いかな程度)。手持ちのチューブを全部使い切ったらどっちでリピするか迷う所ですが、W&Nならハーフパン一択かな。

茶(5色)

  1. イングリッシュベネチアンレッド(シュミンケホラダム)
  2. ローシェンナ(ミジェロ ミッションゴールド)
  3. トランスペアレントアンバー(シュミンケ)
  4. マースバイオレット(ホルベイン)
  5. セピア(マイメリ)

セピアとトランスペアレントアンバーは続投。

肌の色を塗るのに使う赤茶色を、これまではポッツォーリアースとライトレッドの2色体制にしていたのですが、今年はイングリッシュベネチアンレッドに1本化してみることに。サブパレットには入っていたので初めて使う色というわけではないのですが、メインに入れるのは初めてです。

粒状化色枠は2024年のパレットでは入れなかった方を、ということでマースバイオレットに。キャプトモータルバイオレットほど粒状感は強くないので軽率に使ってもイケそう(とはいえステイン色と混ぜたら分離はする)。

グレー・黒系(2色)

  1. インダンスレンブルー(ターナー海外色)
  2. ペイニーズグレー(W&N)

ターナーのインダンスレンブルーは前述の通りインディゴの代わり。黒枠はペイニーズグレーにしてみました。

2024年ではマイメリのインディゴがペインズグレーの代わりにもなるので黒枠をニュートラルチントにしていましたが、インダンスレンブルーがちょっと紫寄りでもあるので青寄りのペインズグレーに。でも色的にはペインズグレーとニュートラルチントの両方を入れているように見えなくもない。笑

おわりに

色見本作成用の余りで塗った

2024年は新年早々地震で被災し、その後生活リズムや生活環境が変わってしまったせいか、地震発生から1ヶ月半ほどはメンタル的にしんどくてデジ絵すら全く描けず、その後余震活動が落ち着いてきてもじっくり時間を描けて描くことが出来なかったので、今年はじっくり描く時間と、1つでも描く数を増やせたらいいなぁと思います。

とはいえ忘れた頃に強い揺れは来るので、メンタルが完全に安定した状態で描けるようになるのはまだ先かな…

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