コピックと相性の良い紙を探して

コピック用に紙を買うとしたら、多分一番コストが掛からないのがコピー用紙です。プロの漫画家やイラストレーターでも、練習用に使ったりしているくらいですし。でも、練習用には最適とはいえ、裏写りも激しいので本番にはあまり向いてない。

…それ以前にあまりマーカーを使ったことがない人の場合だと、コピックと紙の相性で悩まされると思います。透明水彩と比べると紙との相性問題はそれほどではないのですが、それでもコピックなどのマーカーイラストの向き不向きは少なからずあります。

ということで、今回はアルコールマーカーとの相性が良い&個人的に使ってみてとても良かった紙のお話です。

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基本は表面がつるつるしている紙を使う

透明水彩の場合は表面がザラザラしている紙の方が選ばれますが、コピックの場合は逆です。紙目が粗いとぼかしやグラデーションが作りにくいばかりか、インクが多く滲み込まれてしまうのであっという間にインクが無くなってしまいます。なので、コピックの場合は表面がつるつるしている紙(紙目が細かいもの)を選びます。

一番わかり易いのは漫画用原稿用紙(ケント紙)かな。原稿用紙の裏を使ってた人は少なくないはずだ…!

本番用にオススメの紙ピックアップ

ここからが本題。コピックに相性の良い紙・個人的に使ってとても良かった紙をご紹介。まずは本番用から。

コピックペーパーセレクション 特選上質紙

コピックペーパーセレクション特選上質紙(コピックスケッチブック)

迷ったらこれを選んでおけば問題ないです。公式しか勝たん。

全5種類あるコピックペーパーセレクションの中でも特に公式がイラスト用・初心者向けとしておすすめしている紙。…なんだけど、初心者向けという割にはペン入れはすんごく滑るので「これほんとに初心者向けか…?」と思わなくもないのだが、色塗りに関して言えばグラデもぼかしもムラなく綺麗に出来て、エッジも出来にくいので、初心者が使う紙としては一番バランスが取れている印象。ただ真っ白ではなくナチュラルホワイトっぽい紙なので、000系は目立ちにくいかも。

カット判、スケッチブック(コピックスケッチブック)、コースターカードの3種類あり。

コピックペーパーセレクション カスタムペーパー

ぼかしやグラデを使わないで、ぱきっとしたポップな仕上がりにしたい場合はこちらの方がおすすめ。特選上質紙よりも白味が強く、にじみにくくなっています。色の深みは特選上質紙とほぼ同じ位ですが、濃い色の場合は思った以上に濃く出てしまう事もあるので、試し書きはした方が良いかも。

カット版と色紙タイプ(コピック色紙)の2種類あり。

ウィンザー&ニュートン コットマン水彩紙 細目・中目

コットマン水彩紙
荒目はコピックに適していません

水彩用の紙ではありますが、普通にコピックとの相性が良いです。お値段も30枚入りのシートタイプやハガキサイズで買うならかなりお手頃なので、本番用・練習用どちらの用途にもおすすめ。

コットマンの細目と中目はにじみにくく、透明水彩で使うとエッジがかなり強く出てしまって扱いにくいのですが、コピックの場合はこれが逆にいい仕事をしてくれている気がします。前述の特選上質紙と似た塗り味なのです。

コットマン細目作例

これはコットマンの細目を使っているのですが、必要以上ににじまないのでぼかしもグラデもきれいに作れます。細目がツルツルしすぎて描きにくいという人は中目もおすすめですが、インクを濃いめに吸いやすいので注意。

マルマン ヴィフアール水彩紙 細目

ヴィフアール水彩紙

こちらも水彩用の紙なのですが、にじみ止め加工が強くかかっているのでコピック用に使う人も結構多いです。後述する練習用のスケッチブックからステップアップしたい場合にオススメ。ただしインクを濃いめに吸いすぎる傾向があるので、コピックのコスパは良くないです。

ヴィフアール作例

ヴィフアールに描いてみたところ。発色はとても良いのですが、コットマンと比較してややにじみやすく、色も濃い目に出やすいです。この辺は好き嫌いが分かれそうですね…。

あとマスキングにとても弱い紙なので透明水彩と併用する場合は要注意。

muse Beアートペーパー/Doアートペーパー

こちらはコットン100%の水彩紙なのですが、どちらも紙目が細かいのでマーカーにも適しています。

Beアート・Doアートそれぞれで紙目の細かさがかなり異なっていて、手触りがケント紙に限りなく近いBeアートの方がマーカーイラストに適性があります。DoアートはBeアートに比べてほんの少し目が粗いので、カラーインクや透明水彩などと併用する場合にはこちらがおすすめです。

オリオン こみっくでねぶ

アルコールマーカー専用と銘打っている紙。残念ながら地元では販売されている所を見た事がないので試せていないのですが(そのうち小さいサイズで買おう…)、細目と極細目を両面に組み合わせているので表裏どちらにも描けます。にじみにくく、色ムラにもなりにくく消しゴムにも強いらしい。更に驚きの白さを誇るので発色も最高だとか。

紙の厚さは185gと300gの2種類。マーカーの場合ならお好みで選んでも良いですが、絵の具の場合は300g一択。

なお姉妹品として「アクリルデネブ」という紙があるのですが、こちらはアクリル絵の具・水彩に適した紙になります。細目の方で描けばマーカーにも適しているようですが、素直に透明水彩やアクリルで使うのが良さそう。こちらも驚きの白さを誇る紙なので、色見本を作るのに最適(この紙を使った色見本カードも販売されています)。

練習用にオススメの紙ピックアップ

コピックの練習用として使うのにおすすめの紙をご紹介。

マルマン スケッチブック(図案/アートスパイラル)

練習用として使うのに安くて入手しやすいものが良いならこちら。ホームセンターの文具コーナーでも取り扱いがあるほか、画材店だとまとめ買いパックみたいなものも並んでいたりします。俗に「図案」と呼ばれている紙の厚みが薄いタイプと、紙がちょっと厚めの「アートスパイラル」の2種類あります。

マーカーの場合は図案でもよいのですが、絵の具の場合はアートスパイラルの方が良いです。

私本性獣さん

こちらは図案スケッチブックに書いたもの。かなりにじみやすい紙なのでグラデやぼかしが非常にやりやすいのですが、必要以上ににじむ場合も多いので、コピック初心者は逆に使いにくいかもしれません。キレイにはみ出さずに塗るのは諦めた方が良いかも、というレベル。

ナベわんことベヒモスわんこ

これも図案で塗ってますが、ところどころはみ出しているのがわかるでしょうか。せっかちさんの私は図案に描いてコピックで塗ると大抵こうなりますw(なので前述のヴィフアールで塗った絵もかなりはみ出しがひどい)

コピック PMペーパー

長年コピックを使っている人なら「PMパッド」と言った方が分かりやすいかもしれません。

昔からあるコピック専用紙です。チャオが出た当時、コピック公式の専用紙はPMパッドと欧州で展開していたマーカーパッド(※廃盤)位しかなく、しかも今みたいにコピー機にセットできるタイプなんてものはなかったです。また本番用に使うには薄すぎたので、当時商業用のカラー原稿をコピックで描いてた人は、原稿用紙の裏面やケント紙などに、自分でトンボを引いて描いていたのではなかろうかと。

カラーレスブレンダーでぼかしてもインクが裏抜けしにくく、また色鉛筆やパステルと併用する時にもそれらの粒子がきれいに乗るように開発された紙だそうな。とはいえ完全に定着するわけではないので、色鉛筆・パステル併用の場合はフィキサチーフが必要です。

発色はきれいなのですが、ぼかしは他のコピック専用紙と比較してややぼかしにくく、重ね塗りをしない場合比較的あっさりめに色が乗るので、人によっては使いにくいかもしれません。しかし必要以上ににじまず、そこそこ塗りやすい紙なので、コピック初心者の方には扱いやすい紙だと思います。練習用として使うにはコストが微妙ですが…

お試しで買うならペーパーセレクション版(A420枚入り/550円)か、50枚綴りのPMパッドB5(605円)またはA4(726円)ですと、若干ですが導入コストを抑えられます。

オリオン オリオンバロンケント紙

こちらも私の地元ではあまり見かけない紙なのですが、アルコールマーカーがにじみにくく、ミリペンもなめらかに描けるとのこと。しかも紙の厚さが#150または#200で、かつB5サイズまでであれば、50枚入りでも1000円でお釣りが来ます。厚みのある#250は本番用として使うのも良さそう。

ただイヤーマークが入っているとの事なので、本番で使う場合はそれを考慮してカットしないとダメそうかも。

コピー用紙

最も身近にあるもので練習したいならこれ一択でしょうねえ…。ただ図案よりもにじみやすく、またPMパッドよりも薄いため速攻でインクが裏抜けするので、下敷き代わりの紙は必須。

線画が大量に必要な場合や、塗りの練習をしたい場合にはおすすめ。

漫画用原稿用紙の裏面

これはモノクロ原稿もアナログで制作している人でないと持ってないかもですが。

私がアナログ時代に練習用としてよく使っていたのがコレです。表だと水色で印刷されているトンボの部分だけインクが弾かれてしまうので、何も印刷されていない裏面を使っていました。

代表的なメーカーはアイシー、デリータ、マクソンあたりだと思いますが、メーカーによってインクの乗りやにじみ方が全然違います。因みにマクソンは漫画用のインクは何ともなかったのですが、製図ペンのインクは滲みまくった(ロットリングもステッドラーも等しく滲んだ)ので、1回買っただけで使うのをやめました…。

数種類の原稿用紙を使ってみた結果、個人的にはアイシーの135kgが一番使いやすかったです(モノクロ原稿用としても)。ただ最近は紙質にバラツキがあるとかないとかっていう話もあるので、もしかしたら昔ほどの使いやすさはなくなっているかもしれないです…。コストと品質のバランスを取るならデリータの135kgかな。

なおトンボの印刷されていない無地タイプだとそのまま本番用としても使えます。

まとめ: 迷ったら公式の特選上質紙を選ぼう!

もう見出しで結論出してしまってますがw

コピックを使う上で性能と価格のバランスが最も釣り合ってるのは「特選上質紙」なのかなと思います。ミリペンがつるつる滑ることを除けば塗りやすいですし、グラデやぼかしも色沈みせずに綺麗にできますので。ただ白味を抑えた紙なので、もっと真っ白な紙が欲しい人はこみっくでねぶの方が良いかと思われます。

コピックは透明水彩のように高い紙でなければ真価を発揮できない…なんてことがないので、選択の幅はかなり広がります。そこまで高い紙を使わなくても良いという気軽さがコピックのいいところなので、色々な紙を試してみて、自分の塗りスタイルにピッタリの紙を探してみてください。

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