今年もInktoberの全ログをまとめる頃合いになったので、昨年に引き続き全31枚を振り返っていきたいと思います。
今年はやるべきかやるまいか非常に悩んだ
何故迷ったかと言われたら間違いなくこいつが原因なんですけど。↓
実は自宅が正式に準半壊認定になり、これを機に新しく家を立てて引っ越そう…という話が、震災から1ヶ月経った頃に書いた前出記事を公開した時点ですでに決定事項になっていまして。その新居への引っ越し作業が始まるタイミングにInktoberを迎えることになってしまったので悩みました。
また緊急地震速報が鳴るレベルの地震もなくなったわけではない(これを書いてる数週間前に本震の時とは違う震源地で最大震度5弱があった)ので、地震前ほど落ち着いて数多く描く余裕ないかも…という漠然とした不安感があり。ただそれも9月頃になると地震活動がそこそこ落ち着いてきて、ワンドロ程度なら行けそうかな…と思うように。
分離色と和解するチャンス
時短でこなすことを思いついたはいいが、それだといつものように色をふんだんに使った塗り方は難しくなるので、さてどうしたもんか…と、そこで思いついたのが分離色でした。
今年はホルベインが分離色を発売して話題になったのですが、これがきっかけで分離色をかなり買い集めたんですね。それがちょうどInktoberで1日1色ずつ使って31日分完走できる程の色数が揃ってて。分離色を集めたはいいものの、今ひとつ制作には使えていないので、分離色と和解するいいチャンスかもしれない…! と思いました。
チャレンジするにあたって
毎年恒例の縛りプレイをどうするか
とはいえ、分離色単色オンリーにしてしまうと、色によっては全体がぼやけてしまうのと、流石に肌の色まで分離色で塗る勇気はなかったので、肌色+他に何か差し色を1ついれることに。
また分離色は(顔料にもよりますが)基本的にコットンパルプかつ目の細い紙だと、思うように分離してくれなかったりします。重ね塗りと水を多めに使うスタイル故、普段あまり木材パルプの紙を使わないのですが、今回は木材パルプも使うことに。更に、コットンパルプであっても目の荒い紙を避けがちで、以前購入したアヴァロンやW&Nプロフェッショナルの荒目などがなかなか減らないので、荒目の水彩紙も積極的に使おうと。
というわけで、今年の縛りプレイは
- 透明水彩(分離色+差し色1色+肌色の3色塗り)
- 水彩紙縛りはしないが、荒目の水彩紙&木材パルプ紙を積極的に使う
になりました。去年かなり縛りすぎたので今年は超ユルユル縛りですw
邪道だと思いつつ、線画を事前に何枚か用意した
引越し作業等で線画を描く時間が取れない可能性を考慮して、何枚かは事前にデジタルで線画を描き、水彩紙に薄めのグレーで印刷(※後でマルチライナーで線画を描き起こす前提)して、ストックを作ってみたりもしました。本来のInktoberのルールに反しているよなと思いつつも、絶対時間が取れない事態は発生すると思ったので…
あと、今回Inktober前にじみすでのみリクエストを募集していたのですが、そこで頂いたリクエスト分は事前に線画を準備しました。絶対線画で失敗しそうだと思ったので…(チキン)
#Inktober2024: 10/1〜10/8
去年同様、男女比が偏らないように描いてます。…が、ジャンルは偏っていますね…
10/1: ユーリ・ローウェル(TOV)
- 使用分離色: ダニエルスミス ムーングロウ
- 差し色: ホルベイン パーマネントバイオレット
- 使用紙: ラウニー ラングトンプレステージ中目
ムーングロウはまさしくユーリの為にある色だわ! と思って購入しました。笑
差し色を同系色にしちゃうと目立たなくなるよなぁ…と思いましたが、ユーリって元々のデザインがほぼ黒と紫でまとめられている所に金色(魔導器)とワインレッド(袖の折り返し部分)をワンポイントで添えている…といった感じの色構成なので、紫以外を差し色にすると逆に変になるかなと。
10/2: ジェイド・カーティス(TOA)
- 使用分離色: ホルベイン クジャク
- 差し色: ターナー パーマネントスカーレット
- 使用紙: クレールフォンテーヌ フォンテーヌ水彩紙荒目
クジャク以外にももっとジェイドに合う色あったろ…とも思いましたが、軍服の色に近いものでかつ黄系の分離が強く出てくれるものを…と選んでいったらクジャクになったのでした。スキャンしたものはだいぶ色が落ち着いていますが、実際には緑色の部分はもう少し彩度が高いです。
差し色を譜眼に使いたかったのでパーマネントスカーレットにしましたが、別の色でも良かったかもしれません…
10/3: 鹿目まどか(魔法少女まどか☆マギカ)
- 使用分離色: ホルベイン 薄明
- 差し色: ホルベイン キナクリドンレッド
- 使用紙: ホルベイン アヴァロン水彩紙
この日がお誕生日(公式設定)だったのでチョイス。ちょうどこの時期にワルプルギスの廻天の最新ティザーPVが公開されて、界隈がざわついてましたね…。
薄明は色合いがすごくいい反面、耐光性にはやや難があるので、展示目的の絵には使いづらいのが難点。それでも使うなら、額装の表面カバーに使うアクリル板をよりUVカット効果が高いものにしたり、作品自体にもUVマットバーニッシュを塗布するなど、紫外線による褪色を抑える対策をしないと長期保存は難しいです。
10/4: 加州清光(刀剣乱舞-ONLINE-)
- 使用分離色: クサカベ ハルモニア ウィッチボルドー
- 差し色: ホルベイン キナクリドンレッド
- 使用紙: クレールフォンテーヌ アクアパッド中目
去年同様、普段は描かない版権モノを描こう! というスタイルです。というわけで、今年は気になりつつも未だノータッチでいる刀剣乱舞から何振りか描いてます。この日は加州。似なくても加州と言い張ります(ぉ)。内番衣装を描くのに花丸の公式サイトがめちゃくちゃ参考になりました。ありがとう花丸…
ウィッチボルドーは2年前のFF縛りでミンウさんを単色塗りした時に使ってるのですが、その時は普通に塗った上に、使った紙がセザンヌだったのでほとんど分離が分からず、今回リベンジのつもりで使いました。差し色は同じ顔料でもう少し色味の穏やかなパーマネントカーマインの方が良かったかもしれない…
10/5: リーフ・流光(パニシング : グレイレイヴン)
- 使用分離色: ホルベイン サクラ
- 差し色: ホルベイン ニュートラルチント
- 使用紙: W&N コットマン荒目
パニグレはなつめさんちが時々案件やってるのを見るので気にはなるのですが、ガチャがユニットと装備で別々にあるソシャゲは個人的には鬼門です(涙)原神やスターレイル等のホヨバゲーに手を出さないのも同じ理由。
サクラは分離色として楽しむというより、ポッターズピンクの粒状感を楽しむのが正しい使い方なのかもしれませんね。ホルベインの通常色のラインナップにはポッターズピンクないですし…
10/6: キュアフレンディ/犬飼いろは(わんだふるぷりきゅあ!)
- 使用分離色: ホルベイン クレマチス
- 差し色: W&N イエローオーカー
- 使用紙: クレールフォンテーヌ アクアパッド中目
この日のわんぷり放送回がプリキュアの歴史の中でも最強すぎる神回だったという事で、実は2枠予定していたプリキュア枠の中では描く予定はなかったのですが、急遽描いてみることに。でも描いた後「なんとなく絵的に分かりづらいな…」となったので、全身で描くべきだったかなあと後悔しております…
クレマチスはわかりやすく分離してくれるので助かる。散りばめた金箔みたいな感じに分離する黄色が良き。
10/7: 三日月宗近(刀剣乱舞-ONLINE-)
- 使用分離色: ホルベイン 月夜
- 差し色: W&N カドミウムフリーイエロー ペール
- 使用紙: W&N プロフェッショナル水彩紙 荒目(旧)
月夜は色見本を作った時から三日月のイメージだなと思ってた色。
4日目で描いた加州は内番服でしたが、三日月はとうらぶの顔なので正装で描くべきだなと判断。デザイン的にはだいぶ細かくて、直に描くと間違いなく失敗するな…と思ったので、事前に線画を用意しました。あと最初の値上げ前に滑り込みで購入していたのに、それからずっと使わないままだったシュミンケのマスキング液がようやく日の目を見ましたw
差し色は結局金属部分でしか使ってないので、キナクリドンゴールドの方が良かったなぁと思いました。カドミウムフリーイエローペールで塗った部分が浮いてしまっている…
10/8: エラン・ケレス/強化人士4号(機動戦士ガンダム 水星の魔女)
- 使用分離色: ターナー海外色 モス
- 差し色: W&N ブラウンマダー
- 使用紙: マルマン ヴィフアール 荒目
エランくんは終盤での本物や5号の神行動もいいんだけども、スレッタに対する接し方を考慮するとやっぱり4号には敵わないんですよ…。最終回、パーメットスコア化した姿で出てきたのには泣いたよ…
モスはジャパネスクカラーの第1弾に組み込まれていた色。この色と、後でご紹介するディープインディゴ、エバーグリーンの3色の分離色が組み込まれた5mlチューブ12色セットだったのですが、だいぶ早い段階で海外仕様パッケージも含めて完売したので、購入できた方はラッキーかも。海外限定色も取扱している店舗であれば単品で買う事も出来るのですが、15mlチューブなので人によっては持て余す可能性が。
色的にはイエローオーカーが分離してくるんですが、ターナーの分離色って基本的に分離の仕方が超控えめなのでうまいこと分離させられないんですよね…。これはモスに限らずエバーグリーンでもディープインディゴでもそうで、ハルモニア以上にキレイに分離させられる水彩紙の幅が狭いです。なので、分離色としてではなく普通の透明水彩の色として使うのが良いかなぁと思います。
#Inktober2024: 10/9〜10/15
この辺はまだ男女比率もジャンルの偏りもそこまでではない気がします。気がするだけかも…
10/9: レイヴン(TOV)
- 使用分離色: クサカベ ハルモニアプラス レイブンバトラー
- 差し色: W&N キナクリドンバイオレット
- 使用紙: ホルベイン アルビレオ水彩紙
レイブンバトラーを買ったらいの一番にレイヴンのおっさんを描こうと思っていたのでw
ただこの色、青系の顔料が分離してくるはずの色なんですが、アルビレオでは分離が今ひとつわかりにくい気がします。分離は確認できるんですが、色味がわかりにくいというか…。ヴィフアールではもう少しわかりやすく分離していたので、ヴィフアールかコットマンの方が良かったかもしれません。
実は最初の透明水彩縛りトーバー(2021年)のリベンジのつもりでした。
10/10: 宮本伊織(Fate/Samurai Remnant)
- 使用分離色: ターナー海外色 ディープインディゴ
- 差し色: マイメリブルー セピア
- 使用紙: マルマン ヴィフアール 荒目
にじみすでリクエストを頂いたものなんですが、髪を盛りすぎてもはや別人。Fateはstay nightとZeroをほんの少しかじった程度です…。なおFGOはガチャが沼すぎるのが怖すぎて今もノータッチ。
ディープインディゴはウルトラマリンとフタログリーンが分離してくる色なのですが、この色も紙によってはウルトラマリンしか目立って分離しなかったり、分離が分かりにくかったりするので、やっぱり使う紙の幅があまり広くはないのかなぁ…と改めてじっくり使ってみて思うなどしました。
10/11: ブラック★ロックシューター
- 使用分離色: ホルベイン ハシビロコウ
- 差し色: ホルベイン コバルトターコイズライト
- 使用紙: ホルベイン アルビレオ水彩紙
5日目のリーフをどのバージョンで描くかパニグレ公式サイトを見ながら検討していた時に、まさかのブラック★ロックシューターとコラボしていた事を初めて知り、ちょうど合いそうな色もあるし描いてみるか!…と。
いざ塗り終えてみて、青味の少ない雨夜の月やシャドウバイオレットの方が合っていたのでは…? となったりもしましたが、しかしこれはこれでいい色。差し色のコバルトターコイズライトはもう少し鮮やかなのですが、スキャン後の色補正をハシビロコウに合わせてしまったのでこうなってしまった。仕方ないよね…!(よくはない)
10/12: フリーレン(葬送のフリーレン)
- 使用分離色: ホルベイン ヒスイカズラ
- 差し色: W&N イエローオーカー
- 使用紙: ホルベイン クレスター水彩紙
能登半島地震後、就寝中に緊急地震速報が鳴るクラスの地震があっても速やかに家から脱出できるように、照明とテレビはつけっぱのまま茶の間で寝起きする…という生活をしていた1〜2月頃に、アニメフリーレン1期の総集編をやっていたことがあって、それをたまたま観てフリーレンの世界観に引き込まれたんですよね。しかし気にはなりつつも、まだ履修は出来てません…。因みにフリーレンが座ってるのは例のミミックですw
色的にはヒスイカズラ以外にしっくり来るものがあったんじゃないかとも思いつつも、まあこれはこれでええか…と。原作の色合いに合わせるならハルモニアのスターリーウィンターやダスクスカイあたりが良さそう。
10/13: 白山吉光(刀剣乱舞-ONLINE-)
- 使用分離色: ホルベイン 宵
- 差し色: マイメリブルー インディゴ
- 使用紙: W&N プロフェッショナル水彩紙 荒目(旧)
とうらぶから何振りかを描くと決めた時に、せっかくだからと石川県に縁のある子を一振り入れたいな…と思って選んだのが白山吉光でした。前田藤四郎とも迷いましたが、手持ちの色で前田に合う色が思いつかず。あと途中で何度か水星の魔女のミオリネを描いてるんじゃないかという錯覚に陥りかけましたw
宵の色合いは神秘的ながらどこか儚い雰囲気も感じる白山に合ってると思って選びました。差し色に使ったマイメリのインディゴは天然のインディゴ顔料のみで作られているマイメリの人気色。他メーカーのインディゴと比べると青味が少なく、ペインズグレーの代わりとしても使えます。
10/14: フィリア・フィリス(TOD)
- 使用分離色: ホルベイン 深い森
- 差し色: ホルベイン パーマネントバイオレット
- 使用紙: アルシュ 細目
井上喜久子さんのキャラ(特にゲームキャラ)には17に固執したネタが練り込まれているケースが少なくないのですが、このフィリアと後編で紹介するテュッティにはあまり見られないので、そういう意味では希少なキャラだと思いますw リメDスキットのおさげを触りながらモジモジするフィリアは可愛すぎて魔法。
ふと「アルシュで分離色使ったらどうなんだろう」と思って描いてみたのですが、肝心のアルシュが風邪を引いていました…(涙)部分的にしか確認できませんが、分離は控えめながらもきれいに出ています。
10/15: ビフロンス(メギド72)
- 使用分離色: クサカベ ハルモニア アークティックオーシャン(色調変更版)
- 差し色: W&N イエローオーカー
- 使用紙: キャンソン グラジュエイト
メギドは大抵☆6になると作画コストが倍増して描くのが難しくなるのですが、ラッシュ版のビフロンスは逆かもしれんと思いました。むしろ☆6の方が装飾が控えめになるので描きやすかったです。
ところでメギドといえば、先日メインクエスト完結をもって更新終了の発表がありましたね…。
いくらコンシューマ並みの歯ごたえがあるとはいえ、メギド72がソシャゲであることに変わりはないので、いつかはサ終の文字列を見ることにはなるだろうな…とは思ってはいたのですが、それが7周年の節目を迎えるタイミングで発表されたので、心の準備が出来ていませんでした。
しかしそれでも後ろ向きな感じがしなかったのは、「7.2周年を迎えるタイミングでメインクエストが完結して更新終了になるけど、その後もコロシアムと共闘以外は今まで通り遊べるよ! イベクエも全部遊べるよ!」という発表だったからかも。…それにしても、最後までとことん72を私物化してるのは流石に草。
キャンソンのグラジュエイトは最近出た新しい水彩紙。あまりレビュー記事を見ないので人柱覚悟で買ってみたんですが、これ結構いいかも…! コットンは入ってなさそうなんで100%木材パルプだと思うのですが、その割にはぼかしやにじみがやりやすい。紙によっては木材パルプであっても分離が出にくいハルモニアも、グラジュエイトではきちんと分離が出る。すごい。ただ木材パルプなのに高いのがネック(A4パッド20枚綴で確か1800円ほど)。
後半へ続く!
10/16以降のものと、総括等はまた後編にて〜。